2014 Fiscal Year Research-status Report
細孔内自由水の移動によるコンクリート粘性発現機構の解明と支配的空隙スケールの特定
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26630206
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
藤山 知加子 法政大学, デザイン工学部, 准教授 (60613495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝渕 利明 法政大学, デザイン工学部, 教授 (60339504)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ひずみ速度依存性 / コンクリート / 細孔構造 / 凍結 / 自由水 / マイクロクラック |
Outline of Annual Research Achievements |
「研究の目的」コンクリートのひずみ速度依存が微細空隙内の自由水の粘性抵抗と間隙水圧によって生じ,またその機構は自由水の存在する空隙のスケールに依存するという研究代表者の仮説を検証することである. 「研究実施計画」に照らした成果の説明 ・具体的内容・直径50mm高さ100mmのモルタル円柱を作成し,異なる条件下で98体の載荷試験を行った.セメントは普通ポルトランドセメント,とし,異なる細孔構造の形成を期待して水セメント比を35%, 50%, 60%の3種類設定し,混和剤は用いていない。載荷直前まで水中養生を行っているが,KT50シリーズ4体は水中養生後に100℃で24時間乾燥,E60シリーズ6体は養生槽から出して気中に30日静置した。常温での載荷はWシリーズ,凍結後の載荷は,凍結手法により凍結融解試験(-20°)と液体窒素浸漬(-197°)の2種類とした。これらの低・高ひずみ速度での一軸圧縮試験を行い,荷重と動ひずみを詳細に記録した.その結果,自由水が部分的に凍結した状態でも高速載荷によって一軸圧縮強度が増加するというひずみ速度依存性の発現が確認された。凍結供試体の結果はばらつきが大きいものの平均では,常温供試体よりもひずみ速度依存性の発現は顕著であり,かつ-20℃凍結供試体よりも-197℃凍結供試体で強度増加は大きい傾向を得た. ・意義・予想とは異なる結果が得られたことから,新たな検討課題が生まれた.急速冷却後の供試体細孔構造のを調べることである. ・重要性・国内外で1920年代から知られてきたコンクリートのひずみ速度依存性について,そのメカニズムを解明するための独創的試験方法が提案された.メカニズムの解明は,コンクリート工学上重要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で提案した独創的な手法を,従来の凍結融解装置だけでなく液体窒素を用いることで簡易に試験体を極低温条件に導くという計画を実現することができた.この点から,研究は概ね順調に進展していると判断している. しかし「概ね」であり,まだ課題が残っている.それは,現在の試験結果にはばらつきが大きいことである.したがって,さらに安定した結果を得るため,今後試験体の冷却,保温システムの改良を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
1.試験体の冷却,保温システムの改良 試験体を極低温条件にする際,直接液体窒素に浸漬するのではなく,間接的冷却とする.具体的には,小型の保護ケースを作成しパイプクーリング等の手法でケースを冷却すること,またケースに温度感知センサをとりつけ,試験体温度をモニタリングしなかがら載荷を行う手法を考える. 2.細孔構造の確認 当初の研究計画通り,冷却後の試験片を採取し,ポロシメーターにより細孔構造を分析する.特に,急速冷却による細孔構造の変化を定量的に把握する.
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Causes of Carryover |
研究計画どおり必要な消耗品の購入をすすめたが,商品の価格変更等があり430円という少額が未使用となって残った.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の消耗品購入費に加算して使用する予定である.
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