2015 Fiscal Year Research-status Report
これからの材料開発に欠かせない材料ミクロ組織の仮想実験と最適化技術の新展開
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26630209
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 準治 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00594087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
京谷 孝史 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00186347)
寺田 賢二郎 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (40282678)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トポロジー最適化 / ミクロ構造 / マルチスケール解析 / 材料開発 / 材料非線形 / 幾何学的非線形 / 超弾性 / 弾塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,加藤・京谷が協働して超弾性材料モデルのプログラムを構築し,前年度の成果に実装した.計算の効率化・高速化については本研究では,加藤が中心となって「分離型マルチスケール解析法の導入」,「マクロ材料パラメータ同定作業の高速化」を実施した.この段階において,想定以上に計算効率のよいアルゴリズムを構築できたため,超弾性体を考慮したミクロ構造のトポロジー最適化に加え,マクロ構造も同時に最適化できるツールの開発を新たに着手した.その結果,最終的な検証がこれからであるが,想定どおりの材料配置が得られることがわかってきた. また,マクロ材料パラメータの同定作業については,加藤がこれまでに培った最適化アルゴリズムのノウハウを駆使し,現在最速と言われる高速かつロバストなDeferential Evolution という最適化アルゴリズムの導入に成功した. 一方,フェーズフィールド法については,「時間発展方程式の効率化」を実施した.ここでは,これまで材料の体積量が変化しないとして扱われてきたNeslerらの手法を用いた場合,最適化過程では僅かに変化してしまうという予期せぬ問題に遭遇した.そのため,H 27 年度はそれを克服するための新しいアルゴリズムの開発に多くの時間を費やした.開発したアルゴリズムは計算コストはやや増加するが,材料体積量を確実に一定にできるという優れた手法であり,現在執筆作業中である.また,本研究の要となる塑性の導入については,ミクロ構造のユニットセルにおいて弾塑性複合材料を仮定した中で最適化を行い,極めて高精度の最適解が得られることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究については,当初の計画以上に進展していると考えている. まず,加藤・京谷が協働して超弾性材料モデルのプログラムを構築し,前年度の成果に実装したがこの段階で我々の導出した手法の確からしさがつかめていたので迷う事なく,導出した手法をそのままプログラミング化し,結果を得る事ができた.計算の効率化・高速化についても,「分離型マルチスケール解析法の導入」と「マクロ材料パラメータ同定作業の高速化」において,想定以上に計算効率のよいアルゴリズムを構築できたため,超弾性体を考慮したミクロ構造のトポロジー最適化に加え,マクロ構造も同時に最適化できるツールの開発を新たに着手した. 結果は,今後の材料開発における上流設計に使用できるものであると考えている. また,マクロ材料パラメータの同定作業においては,現在最速と言われる高速かつロバストなDeferential Evolution という最適化アルゴリズムの導入に成功したが,これは前年度にある程度準備できていたものなのでそれほど多くの時間を要するようなことはなかった.ただし,フェーズフィールド法については,材料の体積量が変化しないとして扱われてきたNeslerらの手法を用いた場合,最適化過程では僅かに変化してしまうという予期せぬ問題に遭遇した.このような予期せぬ問題を抱えていたため,少し方針転換をし,それを克服するための新しいアルゴリズムの開発に多くの時間を費やした.ただし,開発したアルゴリズムは計算コストはやや増加するが,材料体積量を確実に一定にできるという優れた手法であり,今後の研究を研究を進める上で必要不可欠なものである.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究における推進方策については,加藤が中心となって本格的な大規模最適化計算を実施する.ここでは具体の計算に先立ち,寺田の並列計算のノウハウを活かして並列計算用のプログラムに拡張する予定である. ただし,これまで想定以上に研究が進んでいることから,今年度は当初計画以上の発展性の高い,新しい問題に挑戦したい考えている.これは,当初案では粘弾性,熱粘弾性などのいくつかの材料モデルに挑戦する予定でいたが,昨年度成功したDefferential Evolution法を用いた材料パラメータの同定精度をみれば,ほぼ同様な枠組みで対処できることが分かってきたためである.本研究は挑戦的な研究課題の解決に主眼をおいていることを鑑みて,より高度でかつ社会に求められるためのニーズに従う必要があると考えている. 具体的には,多結晶構造マルチフェーズフィールド法という,多結晶構造を模擬できる拡張されたフェーズフィールド法の導入を新たに追加することである.ここでは,金属材料特有の多結晶構造の最適化,ならびにその材料設計法の確立に向けて,これまで得られた知見を最大限に活かして研究を進める予定である.最後に得られた結果を吟味し,加藤・寺田・京谷が協働して成果を取りまとめる.
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Causes of Carryover |
当該年度においては,わずかの余りが生じたが,基金であることから敢えて使用せず次年度に繰り越した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
僅かではあるが、次年度では消耗品で使用する予定である.
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Research Products
(6 results)