2014 Fiscal Year Research-status Report
2つのX線CT装置のフュージョン化に基づく土質力学の新たな展開
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26630221
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大谷 順 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (30203821)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 土質力学 / 一軸圧縮 / X線CT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、世界的にも例を見ない産業用X線CTとマイクロフォーカスX線CTを用いて、地盤材料を対象とした数μmから数百μmまでの比較的広い範囲の微細な現象を観察することで、土の間隙比や含水比などの基本的性質や荷重下での変形・破壊現象の引き金となるひずみの局所化現象までを詳細に解明する。特徴は、2つのCT装置を連動させることで、マクロ現象とミクロ現象の相互互換可能な情報を用いて、これまで不可能であったミクロ現象を反映したマクロ現象としての土の挙動を解明することで土質力学の新たな展開をめざす。以上は、土質力学における「パラダイム転換」とも言える全く新たなチャレンジであると言え、今後の解明が待たれる不飽和土や中間土の問題解決に大きく寄与すると考える。 平成26年度は、「マイクロフォーカスX線CT専用実験装置の開発と実験の実施」を目的とした。実験装置の開発であるが、当初三次元圧縮試験を対象としていたが、その現象の複雑さゆえに、まずは一次元圧縮挙動としての締固め試験を対象としたため、その装置の開発を行った。またその試験を実施後にマイクロフォーカスX線CT装置を用いて圧縮下の土の挙動について解明することを試みた。結果としてはマイクロフォーカスX線CT装置でも圧縮下の土の挙動をより微視的に解明することが可能であることを確認した。その際、土の挙動を定量化するために、画像解析手法としてのDIC(Digital Image Correlation)法の適用を試み、これにより土中内部の変位やひずみの局所化についての定量的評価を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は三軸圧縮試験下の土の挙動を対象としていたが、概要でも述べたように、より現象を単純化することで挙動の解明を行うことに変更し、一軸圧縮挙動としての締固め試験を対象とすることとした。これについては、本研究の目的である2つのX線CT装置のフュージョン化としては問題ないと言える。またこれにより現象を制限したが故に、土の挙動を簡素化することで結果の議論をより確定的にすることができた。ここで開発した手法は本実験で実施した締固め試験のみならず、地盤工学の種々の問題に適用可能であり、それらについても成果として論文リストを加えている。またここではその現象の定量的評価を行うための画像解析手法の開発も行っており、次年度への適用の拡大が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度はマイクロフォーカスX線CT装置による土の一軸圧縮挙動についての解明を試み、DIC法による現象の定量的評価についても可能とした。最終年度となる平成27年度では、この現象と産業用X線CT装置下での同実験装置による現象との比較検討を行うことで、これまで確認が困難であった土中の微視的現象と、これまでに一般的に理解されている比較的マクロな現象から求められる土質パラメータの定量的評価をめざす。ここではX線CTの結果に加えて間隙水の移動や不飽和土のサクションについてもその物理的意味について考察する。
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Research Products
(3 results)