2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on long-term variation of the Baiu season using weather record of old diaries
Project/Area Number |
26630224
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
庄 建治朗 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40283478)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 古日記天気記録 / 梅雨期長期変動 / 近畿 |
Outline of Annual Research Achievements |
歴史時代の水文・気候環境を復元する資料としての古日記天気記録の利用可能性を検証するため、気象台による観測開始以降の明治・大正期に書かれた古日記を用い、日記天気記録と気象観測データとの関係を分析した。京都とその周辺地域で書かれた8つの古日記から天気記録を収集し、日単位の降水量・雲量のデータと照合したところ、各天気種別に対応する観測値の分布は、日単位で見れば非常に広い範囲にばらつくが、長期間の平均値は異なる日記間で互いに近い値をとることが分かった。このことは、日記天気記録は日単位では非常に誤差が大きいが、月単位や季節単位といった期間積算値を用いることで客観性が高まり、降水量等の定量値を推定できる可能性が高くなることを示唆している。また、]降水の有無に関する記録については、その精度は天気記録の「詳細さ」に大きく依存するという結果が得られた。日記間の「詳細さ」の違いを何らかの方法で調整できれば、複数の記録期間の異なる日記をつなぎ合わせ、長期にわたって均質な降水量や降水日数等の時系列データを復元できる可能性が見出されたといえる。 さらに、これら解析結果を応用して、観測時代について歴史時代と同じ方法で日々の天気から入出梅日を推定することにより、過去約240年間にわたる時間的に均質な入出梅日のデータを作成し、梅雨期間の長期変動を分析した。結果は、20世紀が過去に見られないような梅雨期間の長期化した時期であったことなど、過去の研究でも指摘されていたことを再確認するものであった。また、特に入梅日については、日記天気記録から推定する際、記録の精度によって推定値が大きくゆらぐ可能性のあることが示唆された。歴史時代の日記記録の限られた情報を最大限に活用するためにも、推定値のゆらぎがより小さくなるような入出梅日の推定方法を模索していく必要があろう。
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