短編的な観測情報を利用した長期水文再解析データの作成

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26630226
• Research Institution: Kyoto University
• Principal Investigator: KIM Sunmin 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10546013)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 水文データ / 流量再解析 / 利根川流域

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は，断片的に存在する水文データを最大活用し，また様々なデータ活用レベルを想定し，水文モデルと水理モデルを用いたモデル再解析により，利根川流域に対して長期間の流量再解析データ（本研究では1984年から2013年）を構築することである．研究1年目である今年度は利根川流域に対して長期間の流量データを作成するために（１）観測データの収集（２）水文モデルの作成およびパラメーター同定を行った．
（１）観測データの収集：国土交通省 水文水質データベースから利根川流域（八斗島地点上流域）の１９個の水位流量観測地点を選択し，１９８４年度から２０１３年度の間で取得可能な日水位・日流量・時間水位・時間流量のデータを収集・整理した．降雨データとしてはアメダース観測データを中心に長期日雨量データであるAPHRODITHE_JPデータを整備し，対象流域での３０年間の雨量入力データを準備した．また，利根川上流域での積雪量，ダム放流量，各種取水量，蒸発推定量などのデータを日単位または月単位で収集・整理した．
（２）水文モデルの作成およびパラメーター同定：利根川流域に対して分布型水文モデルを作成した．水文モデルでは，１９個の水位流量観測地点を基準として１９個の部分流域を構成し，それぞれの部分流域に対してモデルパラメーターを同定した．パラメーター同定には，１９９６年から１９９８年の３年間，そして２００４年から２００６年の３年間の二つの期間に関してパラメーターの同定と検証を交差適用した．ある程度安定できたパラメーターセットが準備できたと判断し，長期流量解析に進むところである．

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

対象流域に対して観測データの収集および水文モデルの作成とパラメーター同定が一時的に完了し，流量の長期再解析データを実験的に作成している．

Strategy for Future Research Activity

利根川流域を対象として長期間の流量再解析データを作成する際に，様々な観測データ活用レベルを想定し，今後の他流域への適用可能性を調べ，特に観測データが極めて不足な流域に対しても適用可能な水文モデルの構成およびパラメーター同定手法を開発する．本研究の対象である利根川流域は観測データが十分あることで信頼性が高い長期再解析データを作成することが可能である，本研究ではその内一部の観測データを人為的に省略して「一般観測流域」および「貧弱観測流域」の条件を想定し，それぞれ条件に対して信頼性が高い再解析データの作成手法を模索する．

Causes of Carryover

初年度の研究は観測データの収集，水文モデルの作成，パラメーター同定を中心に行い計算量が多くなかったことで購入計画であった追加計算機の購入を次年度に延期した．

Expenditure Plan for Carryover Budget

追加計算機を購入する．また今までの研究成果をまとめ国内・国外の学会で発表する．