2014 Fiscal Year Research-status Report
河川の疎通能力を確保するための樹林啓開の最適化に関する水理計画学研究
Project/Area Number |
26630228
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
道奥 康治 法政大学, デザイン工学部, 教授 (40127303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 佳一 明石工業高等専門学校, 都市システム工学科, 教授 (60214722)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 治水 / 洪水解析 / 樹林化 / 二次元解析 / 河床変動 / 樹林啓開 / 維持管理計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
河積の小さな山付き区間による河積不足と樹林の流水阻害によって洪水疎通能力が制限されている円山川の河口距離2.8~13.0kmを対象として,現況と災害復旧がなされる以前の2004年時点における河川地形を用いて二次元洪水流解析を実施した.本研究では樹木による流水阻害特性に着目しており,河川管理者から提供された樹林調査結果とgoogle地図から樹林帯の平面分布を特定して樹径・密生度・樹高などの水理解析に必要な諸元を設定した.さらに,地形と平水流況解析から低水路と高水敷を特定して,それぞれの実績に見合う粗度係数を与え平面二次元洪水流解析を実施した.解析には河床変動を既述できるiRIC, Nays-2DHを用いた.対象とした出水は2004年10月と2009年8月に発生した台風洪水であり,痕跡水位などの実績データとの比較から解析モデルの妥当性を検証した.助走計算区間,解析メッシュ,助走計算時間など予備解析に当初計画以上の時間を要したため,実績水位の再現と中州上の樹木伐採を想定した数例のシナリオに基づく解析しか実施できなかったが,樹木や中州周辺の局所流況,樹木に作用する流体力,河床変動特性などを明らかにすることができた.以上により,狭搾区間の洪水流に及ぼす樹林帯と河川地形の影響が的確に再現されたため,これに基づいて樹木啓開の戦略的計画論を講ずるための樹木伐採方法(範囲,施業頻度,伐採量など)を確立するための維持・管理条件を設定した.さらに,二次元・一次元解析を進める準備を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
二次元浅水流モデルに加えて樹林の透過流の樹冠上の越流水束を再現できる二次元二層流モデルを用いた洪水追跡を実施する予定であったが,解析に要するデータ整備に時間を要し,後者については初年度に実施することができなかった.また,洪水現象の再現に加えて樹林啓開の動的計画を検討するための一次元水理モデルを構築する予定であったが,二次元モデルに用いた諸元の一次元化にまでは至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
研究対象区間の地形,粗度要素,樹林の諸元を一次元モデルで取り扱うことができるように断面内で積分して一次元洪水流解析に必要な水理・樹木・地形諸元を生成する.また,樹林と河川管理のための動的計画を進めて,狭搾区間の治水機能が維持され,かつ省力的な樹林管理が可能となる樹林啓開の戦略論を構築する予定である.なお,初年度に発生した出水諸元と樹林啓開の実績についても河川管理者の協力を得て情報収集し,本研究の実効性を高める予定である.
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Causes of Carryover |
樹林啓開の最適化に関する動的計画解析が予定よりも遅れており,これに要する旅費・消耗品費の一部を執行することができなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
二年目において,表記解析を実施する予定であり,初年度未使用額程度の支出を予定している.
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