2014 Fiscal Year Research-status Report
道路ネットワークの耐震化戦略に対する確率的アルゴリズム
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26630234
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長江 剛志 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30379482)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 防災計画 / 道路ネットワークの信頼性 / 非凸0-1整数計画問題 / 乱択アルゴリズム / Cross entropy 法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,第1に,関連研究のサーベイを行なった.第2に,道路ネットワークの耐震化問題(ASR)として, Nagae et al. (2012)を一般化したモデルを構築した.具体的には,任意の数の脆弱な施設を持ち,複数の異なる地震シナリオに曝される一般ネットワークを対象とし,震災によって生じる交通不便益を適当な交通配分(e.g. 利用者均衡配分)で評価する枠組を提案した.そして,いくつかの施設を耐震化することによる効果を,それによる交通不便益の期待値の減少分として評価し,費用対効果を最大にする戦略を求める問題を定式化した.
このASR問題は,一般的な道路ネットワークを対象とした場合,「目的関数の厳密な評価が極めて困難」な「非凸・非線形0-1整数計画問題」であり,大域的最適解を求めることが極めて困難である.そこで,第3に,乱択アルゴリズムの一種である cross entropy(CE)法を用いて「ASR問題の目的関数を精度よく効率的に推計する手法」および,その推計手法をサブルーチンとして「ASR問題に対する優れた解を実用的な時間内に探索する手法」を開発した.最後に,厳密解が求められる最大のサイズの中規模な道路ネットワークを対象とした試算を行なった.これにより,提案手法が交通不便益を精度よく効率的に推計できること,および,大域的最適解もしくはその近傍の解を,大衆向けのパーソナルコンピュータで実用的な時間内に求められることを明らかにした.
以上の成果は,それぞれ,平成26年9月の防災計画研究発表会,10月の土木計画学研究発表会,12月の香港交通学会(HKSTS: Hong Kong Society of Transportation Studies)で報告済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記の通り,研究予定がほぼ達成できており,さらに,平成27年度に行う予定であった「CE法による優れた耐震化戦略の導出および効率性の検証」についても,手法の開発および効率性の検証が行なえている.以上の観点から「当初の計画以上に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,まず,CE法に代替する乱択アルゴリズムである Gibbs cloner 法や,それらを組み合わせた CLONCE 法との効率性の比較を行なう.そして,より現実的な規模の道路ネットワークに適用し,その有用性を検証する.ただし,当初の計画にあった神戸都市圏ネットワークは,耐震化対象とならない細街路を多く含むため,本提案手法を用いても,大域的最適解を大衆向けパーソナルコンピュータで求めることは極めて困難である.そこで,より小規模なネットワーク対象とした試算に留める予定である.
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