2014 Fiscal Year Research-status Report
精密質量分析を応用した新手法による水系感染症ウイルスの消毒不活化メカニズムの解明
Project/Area Number |
26630242
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
白崎 伸隆 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60604692)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水系感染症 / ノロウイルス / アデノウイルス / 大腸菌ファージ / 精密質量分析 / カプシドタンパク質 / 消毒処理 / 不活化メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
病原性ウイルスによる水系感染症の制御には,消毒処理過程におけるウイルスの感染性の消長,並びに不活化メカニズムを詳細に把握し,効果的且つ効率的な処理を施すことが重要となる.しかしながら,不活化メカニズムの解明に向けた革新的な手法が未確立であることから,培養不可能なウイルスは勿論のこと,培養可能なウイルスでさえ不活化メカニズムの解明には至っていないのが現状である.そこで,本研究では,精密質量分析を応用することにより,ウイルスの感染性を決定づけるカプシドタンパク質の変性をアミノ酸レベルで捉える全く新しい手法を開発し,培養可能なウイルスのみならす,培養不可能なウイルスの消毒処理における不活化メカニズムを解明することを目的とした. 本年度は,ノロウイルス及び水系感染症ウイルスの代替指標ウイルスとして広く用いられている大腸菌ファージMS2を研究対象とし,タンパク質の濃縮及び精製,マトリックス溶液の組成,レーザー強度といったMALDI-TOF-MSによるカプシドタンパク質分析条件の最適化を行った後,紫外線照射-過酸化水素処理前後のカプシドタンパク質の質量分析を実施した.その結果,処理過程で生じたOHラジカルによるカプシドタンパク質の質量の増加,すなわち酸化が確認された.また,タンパク質消化酵素によるタンパク質のペプチド化により,酸化されたペプチドの特定も可能であることが示された.加えて,A549細胞を用いたアデノウイルスのプラック形成法の構築にも成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,ノロウイルス及び大腸菌ファージMS2を研究対象とし,MALDI-TOF-MSによるカプシドタンパク質分析条件の最適化に加え,紫外線照射-過酸化水素処理におけるカプシドタンパク質の変性箇所の特定,並びにアデノウイルス定量のためのプラック形成法を構築できたことから,研究計画は順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,主にアデノウイルス及びポリオウイルスを研究対象とし,塩素処理及びオゾン処理におけるウイルスの感染性の消長評価,並びにカプシドタンパク質の変性箇所を特定する.
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Causes of Carryover |
物品費が当初の予定よりも安く抑えられたために未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は次年度の物品費として使用することにより,当初の予定よりも実験回数を増やし,結果の信頼性の向上を図る.
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Development of novel high-basicity polyaluminum chloride for effective virus removal2014
Author(s)
Marubayashi, T., Shirasaki, N., Matsushita, T., Matsui, Y. and Oshiba, A.
Organizer
IWA World Water Congress and Exhibition
Place of Presentation
Lisbon Congress Centre, Lisbon, Portugal
Year and Date
2014-09-23