2014 Fiscal Year Research-status Report
ウイルス感染への細胞応答を活用した水中感染性腸管系ウイルスの迅速検出手法の開発
Project/Area Number |
26630244
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大村 達夫 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (30111248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 大輔 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80550368)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腸管系ウイルス / 組織細胞 / 細胞応答 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ウイルス感染時における細胞応答に着目し、水中腸管系ウイルスを迅速に検出する全く新しい手法を開発することを目的としている。具体的には、水中サンプルに存在する様々な夾雑物質の存在に惑わされず、感染性の腸管系ウイルスが感染した時にのみ発現する特異的な細胞応答を見出し、サンプル摂取後2~3時間のスケールで感染性腸管系ウイルスの存在の有無を判断可能な手法を確立することを目指している。研究初年度である平成26年度では、環境水中の腸管系ウイルスを濃縮する際に同時に回収されてしまう夾雑物質に関する分析、及びDNAマイクロアレイ技術を用いたウイルス感染細胞応答遺伝子の同定を行った。 濃縮夾雑物質に関する分析では、ポリエチレングリコール沈殿法及びセライト濃縮法を採用し、濃縮サンプルからのウイルス遺伝子抽出を行ったところ、両手法ともにウイルス検出に対して大きな影響を与える夾雑物質の存在は認められなかった。これら2つの手法で濃縮した下水サンプルを用いることで、細胞応答遺伝子の発現量を目安としたウイルス検出を行うことができると考えられる。 DNAマイクロアレイ技術を用いたウイルス感染細胞応答遺伝子の同定では、ポリオウイルスと腸管上皮細胞を用いて低濃度のウイルス感染時の網羅的な遺伝子発現解析を行った。その結果、数種類の免疫応答遺伝子とともに2つのイオンチャネルに関する遺伝子の発現が顕著に変動したことを確認した。これらの遺伝子やウイルス感染時に特異的に働く既知の遺伝子,もしくはタンパク質は,ウイルス感染検出のためのマーカーとして利用できる可能性が高く,本研究が目指す環境水中からの新規なウイルス検出手法の開発に適用できると考えられる
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感染性ウイルス検出に活用することが可能な複数種の遺伝子が同定されたことから、当初計画通りに実際のサンプルを用いて新規感染性ウイルス検出技術の開発を進めることが可能な状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
下水濃縮サンプルに既知量の感染性ウイルス粒子を混入し、組織細胞に接種し、細胞応答遺伝子の発現量をモニタリングする。サンプル接種後、数時間おきに遺伝子抽出サンプルを得ることで、検出に最も適した培養時間を決定する。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Detection and genotyping of Norovirus from gastroenteritis surveillance and wastewater monitoring in 2012-2013 winter2014
Author(s)
Kazama, S., Y. Masago, K. Tohma, N. Souma, T. Imagawa, A. Suzuki, X. Liu, M. Saito, H. Oshitani and T. Omura.
Organizer
4th International Conference on Food and Environmental Virology
Place of Presentation
Ionian Academy, Corfu, Greece
Year and Date
2014-09-02 – 2014-09-05