2014 Fiscal Year Research-status Report
耐塩性(好塩性)のポリリン酸蓄積細菌は新種?海水・汽水からの生物学的リン回収
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26630246
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大橋 晶良 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70169035)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオリアクター / リン / 海水・汽水 / ポリリン酸蓄積細菌 / 資源回収 |
Outline of Annual Research Achievements |
淡水で集積培養されたポリリン酸蓄積細菌(PAOs)群集は高塩濃度下では活性を失う。すなわち,耐塩性のPAOsの存在はこれまで確認されていない。しかし,ポリリン酸合成酵素であるppk1キナーゼ遺伝子は,排水処理汚泥や水田,湖沼などの淡水のみならず干潟の底泥から見つかっており,耐塩性あるいは好塩性のPAOsが生存しても不思議ではない。そこで本研究では,好塩性(耐塩性?)のPAOsの集積培養を行い,機能(塩濃度耐性など)の異なる種が生存することを明らかにし,海水および汽水からリンを資源回収できることを実証することを目的としている。初年度は次の研究成果を得た。 好塩性(塩耐性)のポリリン酸蓄積細菌の集積培養のために,干潟底質及び活性汚泥を植種して模擬海水で好塩性(塩耐性)PAOs の培養を試みた。集積培養方法は,密閉型DHSリアクターを好気と嫌気環境に繰り返して行う。培養にはそれぞれの植種に対して次の4条件で行った。①好気(リン濃度5mgP/L)・嫌気(酢酸100mgCOD/L,プロピオン酸100mgCOD/L)環境とも基質は模擬海水,②好気・嫌気環境とも淡水,③好気:淡水,嫌気:模擬海水,④逆の好気:模擬海水,嫌気:淡水。その結果,全ての条件においてリンの取込みと放出が観察され,好塩性あるいは耐塩性のPAOsは生存していて,集積培養に成功した。さらに,培養できたPAOsは淡水あるいは模擬海水に切り替えてもリンの蓄積・放出機能を有する条件もあった。このことは,高塩濃度で生息できるPAOsは多様性があることを示している。ppk遺伝子と16S rRNA遺伝子に基づいた微生物の系統解析により,PAOsのクレードにおける好適な生息環境を推測することができたが,塩基配列を決定できないサンプルがあり,既知の遺伝子配列とは異なる新規のPAOsのクレードが存在することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
仮説通りに,干潟底質を植種源として,密閉型DHSリアクターを用いて好塩性(塩耐性)のポリリン酸蓄積細菌の集積培養に成功している。また,一部のサンプルを除き微生物の系統解析を実施しており,計画通りに研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
好気:海水,嫌気:海水の環境で培養できたPAOの系統解析ができておらず,塩基配列が決定できない理由を明らかにし,系統解析を行う。さらに,好塩性(塩耐性)PAOsの集積汚泥からPAOのシングルセルあるいはコロニーを分収し,全ゲノムシーケンス解析を行う。 また,好塩性(塩耐性)PAOを活用してのDHSリアクターによる海水・汽水からのリン回収を実装するために要求される100mgP/l以上のリン濃縮液回収が可能な嫌気・好気時間サイクルの運転条件を探る。
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Causes of Carryover |
サンプリングした培養汚泥の微生物群集を解析するためのクローニングができず、塩基配列解析に至らなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
解析できなかったサンプルの塩基配列を決定する解析費等の消耗品に使用する。
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Research Products
(3 results)