2015 Fiscal Year Research-status Report
セシウムの吸収・濃縮に関わるきのこ遺伝子の特定とこれを利用した革新的技術の開発
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26630249
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Research Institution | Kagoshima National College of Technology |
Principal Investigator |
山内 正仁 鹿児島工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (40239843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重松 亨 新潟薬科大学, 応用生物科学部, 教授 (10315286)
井口 晃徳 新潟薬科大学, 応用生物科学部, 助教 (60599786)
山田 真義 鹿児島工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80469593)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | きのこ / セシウム / 活性化剤 / カリウムトランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本試験では、カリウム含有量が極めて低いビール粕培地(ビール粕50.0%、針葉樹おが屑46.0%、貝化石4%)とビール粕培地にKCl(Kとして100mg/瓶)を添加した試験区及びKCl(Kとして100mg/瓶)とCsCl(Csとして250mg /瓶)を添加した試験区を準備し、ヒラタケ栽培試験を実施した。各培地で菌糸を27日間培養し、培地に菌糸を蔓延させた後、子実体の発生処理を施す作業(菌掻き・注水)を行った。この作業時にビール粕培地とビール粕培地にKClを添加した試験区には蒸留水を、KClとCsClを添加した試験区(KCl+CsCl試験区)については各種阻害剤、活性化剤(アラキドン酸、ジアゾキシド、カリブトキシン、アパミン、4アミノピリジン、テトラエチルアンモニウムクロリド、塩化バリウム、ルテニウムレッド)を注射器で注入し、 これらの阻害剤、活性化剤がきのこ子実体の収穫までの日数、収量及びCs取込み量に与える影響を調査した。 その結果、活性化剤,阻害剤を添加した試験区における菌掻きから収穫までの日数は、ジアゾキシド(活性化剤)を添加した試験区では他の試験区に比べ10日程度遅くなる傾向にあった。これは、ジアゾキシドの試薬を調製する過程でアルコールを使用しているためと考えられたが、同じく調製過程で同濃度のアルコールを使用したアラキドン酸を添加した試験区ではこのような影響は確認されなかった。このためジアゾキシドによって子実体形成が阻害されたと考えられた。また、ジアゾキシドを添加した試験区は蒸留水を添加した試験区(対照区)と比較して、収穫までの日数、収量及びCs取込量に有意差が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒラタケのカリウム濃縮に関与すると考えられる活性化剤(ジアゾキシド)を推定できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度の成果をもとに、きのこ培地中に添加するジアゾキシドの濃度を変化させ、きのこ子実体の収量、Cs取込み量について再度調査する。また同時にジアゾキシドに関連する遺伝子群を中心にヒラタケのカリウムトランスポーター遺伝子の探索を進める。2これにより、セシウムの菌類(きのこ)への吸収・濃縮に関係する遺伝子の特定に繋げ、きのこの生理的特性と他生物のカリウムトランスポーターに関連する遺伝子を利用した安定かつ、汚染地域のセシウムを効率良く回収する革新的除染技術を開発する。
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Research Products
(2 results)