2015 Fiscal Year Annual Research Report
形態制御による風力低減効果を利用した高耐風性園芸用鉄骨ハウスの開発
Project/Area Number |
26630252
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
植松 康 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60151833)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 農業用鉄骨ハウス / 翼型断面 / 風力係数 / 荷重低減 / 数値流体計算 / 風洞実験 / 内圧係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、構造物に作用する風力の特性がその形態(形状や開口等の状況)に依存することに着目し、1)鉄骨ハウスの断面形を従来の切妻型や円弧型ではなく「翼型」とすることによる風力低減に加え、2)側壁に意図的にスリット状の開口を設けて内圧を制御することでさらなる風力低減を図ることによって、スパンの大きな園芸用鉄骨ハウスを開発するための基礎データを得ることを目的としている。 1)については、まず、系統的な検討が可能な数値流体計算を利用し、翼型ハウスの断面形状を規定する5つのパラメータを広範囲に変化させて抗力係数CDと揚力係数CLを計算し、それらが各パラメータによってどのように変化するかを明らかにした。なお、計算は乱流モデルとしてRANSを用いた二次元計算であり、桁行面に正対する風向を対象としている。計算モデルの妥当性は既往の意実験結果との比較により確認した。一連の計算結果と内部での作業性を考慮し、風力(特に抗力)低減の観点から最適な断面形状を決定した。次に、決定した断面を有する三次元モデル(スパン20m、長さ60m、頂部高さ5.7m)を設定し、風洞実験と数値流体計算を実施した。両者の結果がほぼ一致することを確認し、断面形状を「翼型」とすることによる風力低減効果を明快に示すことができた。 2)については、想定している鉄骨ハウスにおいては骨組部材として250mm程度の「せい」を有するH形鋼が用いられるので、その「せい」を利用し、側面(風上側および風下側)にスリット状の開口を設け、両者の開口率が内圧性状にどのような影響を与えるかを検討した。具体的には、1)で用いた風洞実験において、想定したスリット位置における外圧を多点同時測定し、その結果を用いて数値シミュレーションにより内圧変動を求めた。計算結果に基づき、最大・最小ピーク内圧係数を抑えるという観点から最適な組み合わせを見出した。
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