2015 Fiscal Year Annual Research Report
パラメトリックスピーカを用いた建築音響材料特性の計測法の開発
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26630260
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 慎一 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (80282599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武岡 成人 静岡理工科大学, 理工学部, 講師 (30514468)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パラメトリックスピーカ / 非線形現象 / 音波散乱特性 / 吸音特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
音響材料の反射・吸音特性を計測する方法のうち、自由音場を想定して行う斜入射吸音率測定や現場における音響インピーンダンス測定では、試料端からの回折波が計測誤差に大きく影響し、測定が困難になる。近年、実用化されるようになってきたパラメトリックスピーカを音源として用いれば、音波を測定試料中心の狭いエリアに集中させることができるため、試料端部からの回折波の問題を回避できる可能性がある。そこで本研究では,このスピーカを音源として用いた場合の精度良い音響材料特性の計測方法を検討することを目的として実験的研究を行った。パラメトリックスピーカは超音波の非線形性を利用した音源であるため、超音波及び可聴音波の放射特性、反射特性を検討した。その結果,指向特性の周波数依存性については通常の線形音波における特性とは異なる特徴が得られた。ただし,この点については試作した機器の特性によることも考えられるため,今後の検討課題として残された。反射・拡散壁からの音波散乱特性について,実験室における実験的検討を行った。その結果,辺縁部における回折波の影響が小さい中,高周波数帯域においては通常のラウドスピーカを用いた場合と同様の結果が得られるとともに,低周波数帯域で異なる結果が得られた。この結果より,パラメトリックスピーカを用いることによる実験上のメリットの可能性が示された。ただし,板からの反射波に超音波成分が乗り,それが逐次可聴音波に変調されることによる影響度合いについては検討することができなかった。これについては今後の課題である。本手法は,実験室実験だけでなく,現場実験でメリットがあるものと考えられる。現場実験への適用については最終年度に実施することができなかったが現場への適用に際しての検討課題を整理した。
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