2014 Fiscal Year Research-status Report
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26630262
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
松本 博 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90125659)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エアフローウィンドウ / 熱交換 / 省エネルギー / 換気 / PIV解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,既存のエアフローウィンドウをベースに,熱的性能の向上による省エネと室内熱環境改善の機能強化に加え,窓システム自体で熱交換換気が可能な新しい機能をもつ新しい高性能窓「熱交換型エアフローウィンドウ」(以下,H-AFW)を開発することを目的として,以下のサブタスクを実施した。 (1)人工気候室を用いたH-AFWの基本的な熱特性及び伝熱機構の解明:先ず,H-AFWの熱的性能に影響を及ぼすと考えられるパラメータ(これまでの予備実験で検討してこなかった窓システムを構成する素材,キャビティの形状・大きさ・ピッチ,内外温度差,通気モード・通気量,模擬太陽の日射強度など)の違いのよる性能評価を行うためのH-AFWを作成した。次に,人工気候室を用いて夏季・冬季を想定した環境条件の下でH-AFWのキャビティ内通気温度,窓表面及び室内空気温度等の時間的変動やPIV手法によるキャビティ内通気の可視化・計測を行い,H-AFWのヒートバランス,温度交換率,日射排気率等を分析することにより,H-AFWの基本的な熱特性及び伝熱機構を調べた。 (2)一対比較実験によるH-AFWのエネルギー性能評価実験:人工気候室を用いて,異なる環境条件(外気温・湿度・日射,通気モード・通気量など)に対するH-AFWと他の窓(シングル,二重,従来型エアフローウィンドウなど)との一対比較実験により,H-AFWを設置した縮尺模型内(部屋を想定)を室内気流性状への影響のないペルチェ素子冷却温調システムにより温度制御した場合のエネルギー消費量を測定・比較した。その結果,冬モードにおいて,他のシステムに比べてH-AFWシステムのデュアルモードで高い熱交換効率があることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い,平成26年度のサブタスクである様々な環境条件下における(1)人工気候室を用いたH-AFWの基本的な熱特性及び伝熱機構解明のための実験を行い,H-AFWのキャビティ内通気温度,窓表面及び室内空気温度等の時間的変動の計測並びにPIV手法を用いてキャビティ内通気の可視化・計測を行い,H-AFWのヒートバランス,温度交換率,日射排気率等を算出・考察した。本年度試作したH-AFWのキャビティでは場所に大きな速度分布がありかつ複雑な流れが生じていることが分かった。次に,(2)一対比較実験によるH-AFWのエネルギー性能評価実験を概ね計画通り実施した。その結果を基に,H-AFWの夏季及び冬季におけるエネルギー性能(省エネルギー性)を分析・評価した。以上のことから,研究目的に対して概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究成果を整理・評価して,平成27年度は先ず①フルスケールの改良型H-AFWを作成して熱的特性を測定し,次に②そのH-AFWの基本性能評価と熱的性能の改善方法を検討する必要がある。更にそれらのサブタスクに加えて,新たに屋外仕様の改良型H-AFWを作成し,実際の自然環境下に暴露されたH-AFWの性能に関する野外長期実測を実施し,総合的な断熱性能やエネルギー性能試験により,その実用可能性を検討する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に予定していた論文発表のための旅費のうち,研究成果の発表が国内学会のみになったためで,当初予定していた国際会議発表については時期的にタイミングが合わず,平成26年度中には発表できなかった。そのため,平成26年度の国外旅費を平成27年度に開催される国際会議での論文発表用旅費に回すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の旅費については,当初の計画通り平成27年度に開催される国内外の会議に加え,平成26年度に発表を予定して時期的な問題で平成27年度に繰り越しになった論文を他の会議で発表する予定である。その際に繰り越しになった予算を使用する予定にしている。
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