2014 Fiscal Year Research-status Report
Simulation-drivenに基づく建物形状最適化に関する研究
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26630266
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
河野 良坪 大阪工業大学, 工学部, 講師 (90572222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
挾間 貴雅 鹿島建設株式会社(技術研究所), その他部局等, 研究員 (80463602)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 建物形状最適化 / 随伴変数法 / 逆解析 / ボリュームスタディ / CFD解析 / 通風 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は主に以下の2点についての検討を実施した。 ① 建物形状の最適変形システムの構築 CFD順解析および逆解析とCADの変形機構を連携した建物形状の最適変形システムのプロトタイプを構築した。本システムは一部は手動であるものの、風の流れに合わせて、半自動的に建物形状を変形させる。形状変形には、Rhinoceros(Robert McNeel & Associates社)上で動作するプラグインであるGrasshopperを使用した。CFD解析及び逆解析には、FlowDesinger10 Enterprise版(㈱アドバンスドナレッジ研究所)を使用した。まず、CFD解析を実施して現状の流れ場を確認した後に逆解析を実施する。逆解析を実施することで、建物のどの部分を削ると建物前面道路を風が流れやすくなるかについて、効果の大小を示す形状感度の算出が可能となる。この形状感度に比例係数をかけた値だけ建物形状を削るが、予め変形処理を組み込んだGrasshopperに形状感度データを読み込ませることで半自動的な形状変形の実行が可能となった。このCFD解析+逆解析と形状変形を繰り返すことで、通風面に関して建物形状が順次最適化されていく。 ② 通風性能向上を目的とした建物形状の最適化 上述のシステムを用いて、単純形状のモデルに対して通風性向上を目的とした建物形状の最適化を行い、風の流れに合わせて建物形状を変形させる手法の有効性を確認した。変形を行わない「基本モデル」、1度の逆解析をもとに変形した「第1変形モデル」、2度の逆解析をもとに変形した「第2変形モデル」、逆解析での削減量と等価な体積を一律セットバックにより変形した「一律変形モデル」の4種を比較した結果、逆解析に沿った変形の方が建物前面道路における風速の向上が見られ、提案手法の有効性が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究が順調に進んだ理由としては、①科研費により高負荷計算用のワークステーションを導入できたこと、②研究協力者のバックアップにより多くの議論や、使用ソフトウェアの改修を、適宜行いながら研究を遂行できたこと、③大学院生の努力により、建物形状の最適変形システムについてはイメージに近いものが順調に開発でき、更に、多数の解析を実施できたこと、があげられる。 結果として、平成26年度は、凸型形状の代表形状として直方体建物を対象に、計算精度、格子数などを様々変えながら、そもそも逆解析が有効であるか、また、どの点に気を付けるべきかなど、多数の知見を得ることができた。凸型形状と凹型形状の両方について逆解析の有効性が確認できれば、大概の形状に応用することが可能と考えられるが、凹型形状の代表形状として空堀形状の最適化についても検討を着手した次第である。この点については平成27年度に成果を示すことができるよう、研究を遂行していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の空堀形状の最適化について検討を進めると共に、周辺建物の影響を含めた検討を行う予定である。また、平成26年度に抽出した課題の解決を図る。現状の課題の一部と、当座の解決策(案)を以下に示す。 ・段差の前後では、段差をなくすように促す高い感度が算出される問題点がある。現状の構造格子では斜面であっても段差ができやすいため、段差のできにくいカットセルや非構造格子の適用を検討する。 ・形状変形を繰り返す差異に、制約なしに変形を進めると形状が消滅したり、大きくなりすぎる可能性があり、適切な変形量の制約条件を設ける必要がある。 ・CFDの流出側の境界条件による形状感度の算出結果の際について、原因を追究する。 ・構造格子を前提とした場合、形状最適化には2,000万を超える大規模格子が必要とされる可能性がある。大規模格子を使用した際のCFD解析の知見は存外に少なく、そもそものCFD解析を順調に収束させる方法について、パラメーターを調整しながら検討する。
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Causes of Carryover |
交付額についてはおよそ使用したが、当初の予定と異なり人件費についての使用がなく、また、旅費が幾らか少なく済み、若干の未使用分が生じた次第である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の学会、研究打ち合わせ等における交通費としての使用を予定する。 また、解析の数を現状以上に行う場合、計算機の搭載メモリ・HDDに多少の不安が残るため、予算上可能な範囲で、計算機オプションの増強を図る次第である。
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