2014 Fiscal Year Research-status Report
庭師とのコラボレーションによる環境配慮型住宅のローカルモデルの提案
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26630272
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 光雄 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30127097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 昌弘 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50714391)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 京町家 / 庭 / 環境配慮住宅 / 地域性 |
Outline of Annual Research Achievements |
伝統的な京町家において蓄積されてきた庭と建物の関係性、および庭の役割と意義を明らかにするために、平成26年度の研究実施計画の1点目である、京町家の庭に携わる庭師を対象とした聞き取り調査を進めた。調査の主対象とした庭師は、京町家の庭だけでなく、寺社仏閣やホテル等の商業建築など幅広い建築物の庭の造園と管理を手がける熟練した技術者である。調査を通じて、①市街地の住宅における庭の意義、および伝統的な京町家街区における庭の連担の合理性、②庭に関する京都独自の事柄として、剪定の技術や素材の豊富さおよびこだわりの強さ、③住まい手による日常的な庭の管理の内容と、特に京都におけるその重要性、④庭の設計の際に重要な判断材料となる視点、について把握することができた。また、住まい手にとっての庭の意義を高める方法として、①作庭への住まい手参加、②庭における生活行為の展開、③室内から見える庭の視覚的効果の活用、④日常的な手入れを庭とかかわる機会として楽しむ工夫、の4点として整理することができた。 今年度の研究実施計画の2点目である京町家の庭における生活実態調査として、京町家における京町家における生活を綴った居住者によるテキスト分析、および京町家居住者のインタビュー調査は現在継続中である。 さらに、研究実施計画の2点目を発展させ、韓国における伝統的な木造住宅である韓屋における庭と建物の関係性および庭の役割と意義についての調査も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
京町家における生活を綴った居住者によるテキスト分析、および京町家居住者のインタビュー調査について、平成26年度で完了する予定であったが、予想よりも内容が増えたため、調査内容のとりまとめおよび分析を平成27年度にも継続して行うこととしたが、全体としておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、継続して行っている京町家の庭における生活実態調査として、京町家における生活を綴った居住者によるテキスト分析、および京町家居住者へのインタビュー調査の分析およびとりまとめを行う。 また、研究代表者らが基本計画および基本設計に携わり、庭の計画を重視して建設された住宅団地(『平成の京町家東山八坂通』2014年2月竣工)の居住者を対象としたヒアリングを行い、入居後1年を経過しての居住者による庭への評価についても調査を行う。 次に、これまでの調査結果をふまえて、庭師とのコラボレーションによる環境配慮型住宅のローカルモデルを構想する。具体的には、庭師との協働による庭の計画案の作成、建築士による設計ワークショップの開催、作成した設計案について評価、の3段階を予定している。その際には、具体的な敷地を想定し、周辺環境や方位などの敷地条件から、住宅の計画より先行して庭の計画案を作成した上で、建築士による設計ワークショップを開催する。作成した案の評価においては、町家居住者や大工棟梁、環境工学の研究者などの協力を得る予定である。
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Causes of Carryover |
物品費が予定より少なくなったことから、一部のみ次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
京町家の庭における生活実態調査の参考となる書籍の購入等に充てる予定である。
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