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2014 Fiscal Year Research-status Report

感染症リスクの軽減を目指した都市環境の構築

Research Project

Project/Area Number 26630279
Research InstitutionNihon University

Principal Investigator

岩田 伸一郎  日本大学, 生産工学部, 准教授 (30314230)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywordsインフルエンザ / 空間特性 / 感染率 / 密度分布 / 建築用途
Outline of Annual Research Achievements

東京23区を対象に、インフルエンザ患者数の管理実態について調査した。現状では、全ての区において指定された少数の定点医療機関の患者数のみが保健所と東京都によって把握されており、葛飾区と江戸川区の2区のみで医師会が管轄地域内の全定点医療機関のサーベランスを独自に実施している実態を明らかにし、葛飾区と江戸川区の医師会にデータ提供を依頼した。
テータ提供の交渉をスムーズに行うことのできた葛飾区については、全30の定点医療機関を近接状況を考慮して11の仮想の定点に再構成し、各定点の感染率と定点を中心とするエリアの空間特性の相関性に関する分析を先行して実施した。行動範囲が狭い15歳未満の子供は、鉄道を使った通学・通勤を開始し行動範囲が広がる15歳以上の青年や成人に比べて最寄りの医療機関を受診する可能性が高く地域環境の影響を受け易いと考え、[15歳未満]と[15歳以上]の2つの世代グループに分けて分析を行った。その結果、両世代グループにおいてインフルエンザ感染率と定点を中心とする1.0km圏内の空間特性が非常に高い相関性を有することを確認した。特に[15歳未満]の感染率では、この世代が日常的には利用しない「商業施設」や「運輸施設」の延床面積が影響し、「商業施設」の小規模なクラスターがエリア内に複数点在する場合に感染率が大幅に低下する傾向や、棟数と延床面積が共に1箇所に集中する場合に感染率が大幅に増加する傾向を発見した。江戸川区については、データ提供の交渉に時間を要したため、葛飾区と同様の分析を現在進行中である。
以上のように、インフルエンザ感染率と都市の空間的な状態との関連性を実証し、感染率に影響を及ぼす具体的な建築用途やその分布を示したことで、「感染症」が都市環境の構築にとっての新たなキーワードに成り得ることを提起した意義は大きい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

計画段階では、各区の保健所が区内の全ての定点医療機関における患者数を把握していると考えていたが、実際にテータ提供の依頼交渉とデータ内容の確認を進める中で、全ての区の保健所では一部の定点医療機関の患者数しか把握されていないことが発覚した。そのため、独自にデータを管理している葛飾区と江戸川区の医師会に辿り着くまでに時間を要したことや、入手可能なデータ数が大幅に減少したために目標の修正や分析方法の再検討を余儀なくされたが、分析作業等は順調に実施することができ、結果についても高い精度で導くことができた。

Strategy for Future Research Activity

現時点では全ての定点医療機関の患者数データを入手できる区が葛飾区と江戸川区に限られるため、各区を単位として感染率と空間特性の相関性を比較する予定であった当初計画を修正して、2区の患者数データからも感染率と空間特性の関連性を充分に検証することが可能と考えられる以下の分析を予定している。
①定点医療機関を用途地域でグループ化し、各グループにおける感染率と空間特性の関係を比較することで、環境の差がインフルエンザ感染率に及ぼす影響について体系的に整理する。②患者数の推移を時系列的に見ることで、「発生期」,「ピーク期,「収束期」の感染率に影響を及ぼす空間特性を明らかにする。③複数年の患者数データを感染拡大パターンや流行したインフルエンザ型等に基づいて分類し、インフルエンザの流行傾向別に空間特性の関係を検証する。
上記と平行し、感染流行時における施設利用の観点に基づく感染拡大の予防策を導くことを目的として、世代別(特に、15歳未満)の利用施設や行動圏域と感染率の関係性を明らかにするための行動調査の準備を進める。また、東京23区以外にも範囲を広げて、管轄エリア内を網羅した患者数データを管理している市町村の調査とデータ提供の交渉を進める。

Causes of Carryover

各区へのデータ管理状況の確認調査およびデータ提供の交渉に時間が掛かった。また、分析に必要な管轄エリア内の全定点医療機関の患者数データを網羅的に管理している区の数が想定を大幅に下回ることが判明し、実際に入手可能なデータ数を用いた分析手法の再検討が必要となった。これに伴い、複数年分のデータ整理作業の予定を変更して本年度は1年分のデータを用いた分析手法の改良に多くの時間を割くことにとなり、収集する資料やデータ整理の作業量が予定よりも少なくなった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

管轄地域内の全定点医療機関の患者数データが一元的に管理されている葛飾区と江戸川区を中心に、「区」間の比較に代る「用途地域」間の比較と、複数年の患者数鵜データを用いた時系列的な比較の2点に重点を置いた分析を予定しており、2区における複数年度分の患者数データの整理作業への謝金を含めて上記の使用を予定している。

  • Research Products

    (1 results)

All 2015

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 定点医療機関を中心とした生活圏における都市利用状況とインフルエンザ感染率の相関性に関する研究2015

    • Author(s)
      塩田智史,岩田伸一郎,柏木英佑
    • Organizer
      日本建築学会大会梗概集
    • Place of Presentation
      東海大学湘南キャンパス
    • Year and Date
      2015-09-04 – 2015-09-06

URL: 

Published: 2016-05-27  

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