2015 Fiscal Year Research-status Report
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26630279
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岩田 伸一郎 日本大学, 生産工学部, 准教授 (30314230)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インフルエンザ感染率 / 推計式 / 施設利用 / 未成年者 / 因子分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、行動範囲の狭い未成年者世代のインフルエンザ感染率と地域環境の空間特性の分布に相関性が見られることを明らかにしている。本年度は、未成年者のインフルエンザ感染率と空間特性に相関性が現れる要因について、地域内における未成年者の行動パターンに着目し、施設利用との関係に踏み込んだ考察を行っている。未成年者の日常生活において利用する施設の「種類」「利用頻度」「滞在時間」に加え、施設利用時の移動交通手段とその利用時間,過去3年間におけるインフルエンザ感染実態に関するWebアンケート調査を実施した。その結果を用いた因子分析により、過去3年間の感染の有無に基づき分類した被験者グループ間の施設利用傾向の差を明らかにした。 感染症のサーベランスは一部の医療機関のみで実施され、その内の一部のデータのみが公開されている現状では、各地区の潜在的な感染リスクを評価することが難しい。そこで、サーベランスが実施されている定点医療機関の患者数データから地区内の潜在的な感染者数を推計する方法について考察を行った。同被験者に対して実施した「居住地区」「インフルエンザ発症時に利用する医療機関」「医療機関を利用する理由」に関するWebアンケート調査の結果に基づき、「自宅と利用医療機関の距離的関係」「定点医療機関の利用者比率」「区外医療機関の利用者比率」を明らかにし、定点医療機関の患者数に基づく簡易的な感染者数推計式を導いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インフルエンザの患者数データを提供してもらえる自治体が当初の予定よりも少なく調査対象地域を限定することとなったため、調査準備やデータ整理作業量が少なくなった。 行動パターンとインフルエンザ感染状況に関するWebアンケートの実施について、条件に該当する被験者に辿り着くまでに困難を伴うことが予想定されていたが、学生アルバイトを使う方法からアルバイトアウトソーシングに調査方法を変更して実施したことにより、データ収集の時間短縮が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度収集した未成年者の施設利用データについて、より詳細な分析を進める。年齢によって活動範囲が異なるという仮説に基づいて、年齢区分と感染実態の関係を施設利用傾向から説明することを試みたが、別の視点として、クラスター分析用いて被験者を施設利用傾向に基づいてグループ化し、グループ間の感染傾向の比較を行う。 成人についても同様に、日常生活で利用する施設,移動交通,過去3年間におけるインフルエンザ感染実態に関するWebアンケート調査を実施する。成人は年齢幅が広く、世代や職業で生活スタイルが大きく異なるため、施設利用傾向も多様である。特に、未成年者と比べて行動範囲が広くなることから、施設利用傾向について見ていく上で移動の手段,頻度,時間の重要性が高いことが予想される。そのため、施設利用傾向と移動交通利用傾向の2通りの視点から被験者をクラスター化し、双方から感染リスクとの関連性を検証する。 3ヶ年の総括として、インフルエンザ感染リスクの高い地域の傾向,感染リスクを高める施設とその利用傾向を整理し、「感染症に強い街づくり」や「パンデミック発生時における施設利用管理」の指針としてまとめる。また、これらの成果を論文として投稿する作業を行う。
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Causes of Carryover |
調査および分析は概ね順調に進展しているが、中間成果の発表については作業を充分に進めることができておらず、当初予定していた国際会議における発表を実施できなかった。そのため、投稿料及び旅費が発生しなかった。また、データ整理作業の人件費が予定よりも少ない金額で実施することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加項目に関するアンケート調査をアウトソーシングで実施することを予定しているほか、分析に用いる統計分析ソフト(既に基本ソフトは所有済み)に結果の検定を行うオプション機能を追加する予定である。研究成果については、英文ジャーナルや国際会議への投稿を予定しており、そのための投稿料及び翻訳費,旅費としての使用を予定している。
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Research Products
(2 results)