2014 Fiscal Year Research-status Report
転位コア原子構造制御によるチタン酸ストロンチウム結晶の室温塑性変形の実現
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26630292
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 剛久 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20220478)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 転位 / チタン酸ストロンチウム / STEM / TEM |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度は、SrTiO3結晶の転位組織解析に関する基礎的知見の収集を行った。まず、SrTiO3単結晶を高温においてセラミックボールを介した荷重下で塑性変形させた。この塑性変形に関する温度、荷重、時間に関して実験条件を検討した。その結果、約1000℃において1時間程度の条件で十分に塑性変形が生じることを確認した。次に、この塑性変形領域についてその転位組織をTEMにより評価解析を行った。導入された転位の多くはバーガースベクトルが[001]であること、また、1/2[001]に分解していることが分かった。転位コアの構造を直接解析するためには、転位線平行方向からの超高分解能観察が必要となる。TEM薄片中において直立転位組織を作り込むことが容易ではないために、非常に傾角が小さい双結晶を用いることとした。市販の(001)面を有するSrTiO3単結晶基板を[010]方向に数度傾けた状態で精密研磨を施し、その研磨面どうしを重ね合わせて高温度において長時間熱処理を行うことによって互いに拡散接合させた。この双結晶の界面である小傾角粒界の観察を行ったところ、粒界には規則的に転位が配列した状態であることを確認した。これらの転位は、上の変形で求めた転位のバーガースベクトルと同じバーガースベクトルを有していることを確認した。今後、これら転位の超高分解能観察、特に、原子分解HAADF-STEM法、および、ABF-STEM法を用いた観察を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画されていた転位コアの原子分解観察までには至らなかったが、効率よく解析を行うための手法として小傾角粒界を適用することを着想した。そのため、次年度の計画においては当初計画よりも研究進展は加速できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
SrTiO3小傾角双結晶を用いた転位観察を行い、酸素分圧を変化させて熱処理を行った粒界での転位コアにおける構造変化を追っていく。研究計画の変更については、特に考えていない。
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Causes of Carryover |
研究成果の欄でも記述したが、本研究で最も重要な項目である転位のコア原子構造直視において、SrTiO3小傾角双結晶を用いることを着想し、その方向で研究を進めてきた。このため、当初予定していた消耗品類を次年度(平成27年度)において使用することとなるために、上記に示した次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
SrTiO3小傾角粒界を拡散接合し、双結晶を作製するための単結晶基板、ならびに、熱処理用に用いる電気炉の発熱体などの消耗品費として使用する。
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