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2014 Fiscal Year Research-status Report

内殻電子エキシトンを利用した局所構造解析

Research Project

Project/Area Number 26630295
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

田中 功  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70183861)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywordsエキシトン / フォノン相互作用 / 電子エネルギー分光損失
Outline of Annual Research Achievements

最新の透過型電子顕微鏡を利用し,高エネルギー分解能で電子エネルギー損失分光(EELS)を行うと,従来は観測できなかった内殻電子エキシトンに起因する鋭いピークを見ることができる.このエキシトン線は,3d遷移金属L端や4f希土類のM端と同様に線幅が狭く,材料中の局所環境に敏感と推定される.しかし,これまでエキシトン線と局所環境との関係に注目した研究は見られず,材料科学の観点からの応用研究もない.本研究では,このエキシトン線を第一原理計算で再現するために,平均場近似を超え,内殻空孔と励起電子の相互作用,さらに励起電子とフォノンの相互作用について精確に採り入れた,ベーテ・サルペータ方程式(BSE)に基づいた新しい理論計算法を開発することが目的である.そしてエキシトン線を,新しく局所構造解析技術として材料科学の課題に応用するための礎を造ることを目指している.
平成26年度は,任意の数の局在基底関数を採り入れることを可能とし,同時に計算精度を損なうことなく計算効率を向上させた汎用的なコード開発を共同研究者とともに進めた.これは,FLAPW法で,広範に利用されているWien2kコードでは,内殻電子と準内殻電子,価電子を分けることで計算を高速化しているが,同時に準内殻電子の取り扱い方による任意性が生じてしまうためである.とくに内殻エキシトンが顕著となる100eV以下の励起端で顕著である.共同研究者らがExciting!コードとして開発しているものに統合した.また,フォノンの寄与を組み込むために,フォノンの振動ベクトルと振幅を第一原理計算によって求めた.申請者らのグループで開発したphonopyコード[A. Togo, F. Oba, and I. Tanaka, Phys. Rev. B, 78, 134106 (2008).]を活用した.上記のFLAPW+BSE計算プログラムへのインタフェースを作製し,計算手法とともに,平成26年度中に公開した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

当初の計画通り,エキシトン線を第一原理的に計算する汎用的なコードを開発することができた.また,当初の計画通り,フォノンの寄与を組み込むことができた.さらに,想定していた計算効率を大幅に向上させることができた.

Strategy for Future Research Activity

内殻エキシトンの計算手法の確立により,局所構造解析に応用するためのケーススタディに取り掛かる.第一に,六方晶BNやグラファイトについて,面間距離の変化や,表面・特殊粒界での結合欠陥に伴う電子状態や振動状態の変化と,理論エキシトン線の変化について調査する.この系は,将来的には共同研究により実験が可能と想定しているものであり,内殻エキシトンを局所構造解析に応用する好例になると期待している.この系では,エキシトン効果の電子論的起源を明らかにするため,実空間での内殻空孔と励起電子の分布を図示する.次に,酸化チタンのマグネリ相における構造欠陥を対象とした検討を行う.これも,実験的検証を想定した系である.これらの計算対象は,計算負荷が過重にならないと期待できる.これらが成功した場合は,実在系での粒界や表面での局所構造解析への応用研究を進める.

Causes of Carryover

当初計画よりも計算手法の開発を重視したため,計算機導入のための物品費を減らした.一方,来年度には,局所構造解析に応用するためのケーススタディに取り掛かるため,計算資源を増強する必要がある.このため,次年度使用額が生じた.

Expenditure Plan for Carryover Budget

局所構造解析に応用するためのケーススタディを実施するため,計算機導入のための物品費として使用する.

  • Research Products

    (1 results)

All 2014

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Impact of local strain on Ti-L-2,L-3 electron energy-loss near-edge structures of BaTiO3: a first-principles multiplet study2014

    • Author(s)
      S. Ootsuki, H. Ikeno, Y. Umeda, Y. Yonezawa, H. Moriwake, A. Kuwabara, O. Kido, S. Ueda. I. Tanaka and Y. Fujikawa
    • Journal Title

      MICROSCOPY

      Volume: 63 Pages: 249-253

    • DOI

      10.1093/jmicro/dfu011

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2016-05-27  

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