2015 Fiscal Year Research-status Report
低次元フォトニック構造を用いた極端紫外励起による多重自己束縛励起子の生成
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26630301
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小玉 展宏 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90282152)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フォトニック結晶 / 自己束縛励起子 / 真空紫外分光 / フェムト秒レーザーアブレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
[1] 極端紫外励起分光評価による多重自己束縛励起子(MSTE)の生成材料の検討 複合オキソホウ酸塩LaSc3(BO3)4,YSc(BO3)2, Ca4LaO(BO3)3 を合成STE発光のダイナミクスと温度依存を調べ、多重安定構造をもつSTEとその発光特性温度依存から、励起子の格子緩和形態を異にするSTEの多重安定構造の生成とBO3分子基の対称性と配位構造との関連を推定した。バンドギャップの2倍以上のエネルギーをもつ70nmの励起強度は、160nm励起強度の2倍以上となることを見出し、高エネルギーフォトン励起で、2重(2個)のMSTEが形成される可能性を示した。 [2] 2次元フォトニック結晶の作製と構造最適化 フェムト秒レーザーアブレーションによりBO3,BO4ネットワークをもつ、Li+/B3+組成比1/2及び1/3のLiホウ酸塩ガラスと結晶表面に形成したナノホールのモルフォロジーの違いに加え、新たにBO4四面体の3次元ネットワーク構造を持つ組成の異なるホウ酸塩ガラスと結晶として、Srホウ酸塩 (SBO)ガラスとSrB4O7結晶、四面体の2次元ネットワークを持つアルミノケイ酸塩Ca2Al2SiO7(正方晶)のホール形態は、Liホウ酸塩結晶と異なることを明らかにした。また、これらホウ酸塩およびアルミノケイ酸塩表面の2次元ナノホールアの大きさと形状と固有発光特性から、フォトニックバンドギャップ構造(PBG) のシミュレーションし、フォトニックバンドギャップの形成するホール周期を計算した。 [3] 2次元フォトニック結晶の分光評価 : MSTEの生成とSTE発光増幅の確認 バンドギャップの2倍以上のエネルギーをもつ70nmの励起強度は、160nm励起強度の2倍以上となることを見出し、高エネルギーフォトン励起で、2重(2個)のMSTEが形成される可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BO3,BO4ネットワーク構造をもつ構造の異なるLiホウ酸塩、Srホウ酸塩ガラスと結晶及びAlO4,SiO4ネットワークをもつアルミノケイ酸塩単結晶の真空紫外域の分光特性から、バンドギャップを明らかにしたこと、これらのガラス及び結晶表面へフェムト秒レーザーアブレーションにより、ナノホールの形成ができること、ホール形態の構造と組成、パルスエネルギー依存をある程度明らかにしたこと、および分光特性とホール形態からシミュレーションし、フォトニックバンドギャップ生成条件を計算したことで、2次元フォトニック構造の実現の可能性と問題点を抽出した。 加えて、真空紫外域まで透明なワイドバンドギャップをもつLaScオキソホウ酸塩、CaLaオキソホウ酸塩で、バンドギャップの2倍以上の高エネルギー光で励起することにより、2重励起子の生成を示唆したことである。
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Strategy for Future Research Activity |
[1] 極端紫外励起分光評価による多重自己束縛励起子(MSTE)の生成の実証 LaSc3(BO3)4,YSc(BO3)2, Ca4LaO(BO3)3A3,Li2B4O7,SrB2O4結晶あるいはガラスを候補材料としてSTE発光のダイナミクスと温度依存を明らかにする。次いで、バンドギャップエネルギーの2倍以上の極端(真空)紫外光 励起多重自己束縛励起子(MSTE) の生成による2光子発光の実現と、その特性を明らかにする。 [2] 2次元フォトニック結晶の作製と構造最適化 STEの生成、またMSTE生成の可能性のある材料を絞り、単結晶となるものに、[1]の分光測定から得られた光学特性(屈折率、STE発光波長など)から平面展開法シミュレーションよりフォトニックバンドギャップを生じるホール径、ホール周期をもつ2次元フォトニック構造を最適設計するとともに時間領域差分法による電磁波伝播のシミュレーションにより、フォトニック結晶の周期性とバンドギャップ及び光の局在モードの準位の相関を明らかにする。この結果を基に、フェムト秒レーザーアブレーションまたはFIBエッチングにより単結晶表面に、正方あるいは3角格子のナノホールアレイ構造とそれらに欠陥を導入した2次元フォトニック結晶を作製する。作製したナノホールの形状、深さをFE-SEMおよびFIBで観察し、最適加工条件を決定する。 [3] 2次元フォトニック結晶の分光評価 : MSTEの生成とSTE発光増幅の確認 作製した低次元(2次元)フォトニック結晶に対して、MSTEの生成と2光子発光による新奇な量子カッティングの可能性を探る。加えて、極端紫外励起で局在モードを通したSTEの発光の増幅の有無を明らかにする。
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Causes of Carryover |
予定していた真空紫外分光実験に使用する分光測定装置の校正の必要性が生じ、そのための機器、関連部材の決定、購入をしなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の分光装置の校正に必要な部材、分光実験および微細加工実験に関連する備品、材料加工費の使用を予定するとともに、国の共同利用機関への実験出張、および国際会議での発表の出張費への使用を計画している。
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