2014 Fiscal Year Research-status Report
コロイドアモルファス集積体をベースとした構造色材料の革新的機能化
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26630320
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
片桐 清文 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30432248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹岡 敬和 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20303084)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 単分散粒子 / コア-シェル粒子 / 交互積層法 / 構造色 / コロイドアモルファス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、角度依存性のない構造色材料の高機能化と実用性向上を目指し、コロイドアモルファス集積体によるフォトクロミズム特性を有する構造色材料の構築と泳動電着法を用いたコロイドアモルファス構造色塗装法の開発の課題に取り組んでいる。 平成26年度は「コロイドアモルファス集積体によるフォトクロミズム特性を有する構造色材料の構築」をメインの課題として取り組んだ。まず、研究代表者はゾル-ゲル法による単分散シリカ粒子合成を応用して様々な複合粒子の合成を行った。光の干渉による散乱をコロイドアモルファス集積体から生じさせるには用いる粒子はサイズの揃った、いわゆる単分散である必要がある。そこで、Stober法を応用した手法で単分散SiO2粒子を合成し、その後、交互積層法によってその表面に水溶性チタン錯体を被覆し、焼成によってそれをTiO2とすることで、SiO2-TiO2コアシェル粒子を得ることに成功した。その際、チタン錯体の種類でTiO2の結晶相を変えること、交互積層の回数でTiO2シェルの厚さを制御することにも成功した。また、これに硝酸銀を添加し、紫外線を照射することで銀ナノ粒子が析出し、着色が起こることも確認した。研究分担者の協力のもと、これをコロイドアモルファス集積体にすることも行った。研究分担者は、様々な手法で白色粒子と黒色添加物を混合し、構造色を発現させる条件の検討を行い、平成27年度に予定している 「泳動電着によるカーボンブラック層/シリカコロイドアモルファス層の形成」での条件設定に必要な予備的データを得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初はSiO2-TiO2微粒子をシリコンとチタンのアルコキシドを組み合わせて作製することを試みたが、こちらは目論見通りの単分散粒子として合成することが困難であった。そこでシリカ粒子を単分散粒子として合成した後、水溶性チタン錯体を交互積層法によってその表面に被覆し、焼成でTiO2とすることで単分散SiO2-TiO2コア-シェル粒子を合成する方法に変更し、目的の機能を有する粒子を合成できた。これによって研究開始当初に生じた遅れを年度内に取り戻すことができた。また、平成27年度に計画している予定の予備実験も行うことができた。これらのことを総合的に勘案すると本年度は年度当初に立てた計画に対して、おおむね順調に研究が進展したと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究でで単分散SiO2-TiO2粒子をコア-シェル粒子として合成することに成功し、それを用いたコロイドアモルファス集積体も得られている。その構造色機能の実現のため、黒色添加物が必要となるが、当初の計画通り、光照射による銀ナノ粒子の析出について検討するほか、TiO2シェル層を還元し、酸素空孔を生じさせて、これを黒色化するアプローチも今後検討する。また、泳動電着を用いたアプローチについても、平成26年度に得られた予備的データを活用し、「灰色の塗料」から多彩な色の塗装を電着で実現することを今後検討していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、まず、研究代表者と研究分担者が様々な機会で顔をあわせる機会があり、その機会を利用して打ち合わせができたため、別途研究打ち合わせのための国内旅行を行う必要がなかった。また、化学試薬などの消耗品類も当初予定していたほどの購入を行わなくても研究計画を十分に達成できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額の使用計画としては、前年度に得られた成果を広く公表するため、国内および国際学会での発表を行う予定であり、その参加のための旅費に使用する。また、得られた成果に基づき、平成27年度では研究を加速させ、場合によっては当初計画以上の段階まで研究を進めるために、化学試薬などの消耗品購入費としても充てる予定である。
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Research Products
(5 results)