2014 Fiscal Year Research-status Report
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26630324
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
林 晃敏 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10364027)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 固体電解質 / マグネシウムイオン伝導体 / 全固体電池 / 硫化物 / メカノケミカル法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では硫化物ガラスを中心に、高いマグネシウムイオン伝導性を示す固体電解質を開発することを目的としている。遊星型ボールミル装置を用いたメカノケミカル法の合成条件や組成を検討して、MgSを主成分として含むマグネシウムイオン伝導性硫化物ガラスを作製した。また導電率を増加させるために、多成分化や超イオン伝導相析出を目的とした結晶化についても検討した。 遊星型ボールミル装置を用いて、MgS-P2S5系ガラスの作製を行ったところ、MgSが60mol%までガラスの得られることがわかった。このガラスを母相としてMgI2を添加した(100-x)(0.6MgS・0.4P2S5)・xMgI2(mol%, 2 ≦ x ≦ 30)ガラスを作製した。これを結晶化させて得られたガラスセラミックスについては、全ての組成においてMg2P2S6に帰属できる回折パターンが観測された。得られたガラスおよびガラスセラミックスの粉末成型体の200℃における導電率は、ガラスの場合、MgI2を添加することで導電率が約2桁向上し、組成x=20で最も高い導電率3.3×10-8 S cm-1を示した。ガラスセラミックスにおいても組成x=20において最も高い導電率2.1×10-7 S cm-1を示した。また今回作製したガラスセラミックスのサイクリックボルタンメトリ-の結果から、マグネシウムの溶解・析出に起因する還元・酸化電流が繰り返し観測されることがわかった。 またMg2+イオン伝導性を示す柔粘性結晶の作製についても検討した。イオン性柔粘性結晶であるN,N-エチルメチルピロリジニウムビストリフルオロメタンスルホニルアミド(以下、P12TFSA)に、マグネシウム塩としてMg(TFSA)2を添加した電解質を作製した。交流インピーダンス測定の結果、イオン伝導体の挙動を示し、85P12TFSA・15Mg(TFSA)2 (mol%) は50 oCで7.7x10-7 Scm-1の導電率を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
硫化物系マグネシウムイオン伝導体としてMgS-P2S5-MgI2系ガラスセラミックスが、200℃で2.1×10-7 S cm-1の導電率を示すことを明らかにした。この導電率は、無機固体電解質の中では最も高い値である。また柔粘性結晶電解質についての検討にも着手し、50℃でマグネシウムイオン伝導性を示す電解質が得られてきている。よって本研究は予定通り進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
硫化物系電解質については、組成系を検討することによって、より一層の導電率増大を図る。MgI2に代えてMgBr2などのハロゲン化物や様々なマグネシウム塩の添加効果について調べる。柔粘性結晶電解質については、50℃で導電率を示す材料が得られてきている。しかしながら、全固体電池へ応用するには導電率がまだ低い状況である。導電率向上に向けて、柔粘性結晶だけでなく、高分子材料についても検討を進める予定である。
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Research Products
(5 results)