2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26630325
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山本 知之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40298196)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 希薄磁性体 / 局所環境解析 / シンクロトロン放射光 / 第一原理計算 / X線吸収端近傍微細構造 / スピントロにクス |
Outline of Annual Research Achievements |
非磁性の酸化物などの物質に数at%程度の希薄な磁性元素を加えることによって強磁性を発現する希薄磁性体では,磁性元素の原子レベルでの局所環境を明らかにすることが極めて重要であるが,添加量が希薄であるが故,その分析は困難である場合が多い.特に強磁性発現のメカニズムを明らかにする上で,添加した3d遷移金属の価数を特定することは,極めて重要であるが,そのために本研究ではシンクロトロン放射光を用いた,3d遷移金属元素のX線吸収端近傍微細構造(XANES)スペクトル測定に加えて,第一原理計算による評価を行い,強磁性を示す希薄磁性体中の磁性元素の局所環境評価を進めている. 本年度は,昨年度に行った物質群(3d遷移金属を添加したCeO2)の評価を更に精緻に進めていくことに加えて,他の物質群(CaTiO3:Mn, BaMgSiO4:Fe)の評価を進めた.こららの物質群は,希薄磁性体としてではなく,蛍光体,フォトクロミック物質などとして知られていたものであり,そのような他の応用分野における磁性元素の評価にも,上記の手法がその物性発現機構を理解するために有力であることを示した.また,蛍光法を用いたバルク敏感かつ高感度なXANES測定装置の整備に加えて,電子増倍管を用いた全電子収量法による高感度測定も試み,カチオン比にして0.1 mol%程度の極微量なFeの電子状態分析も行うことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,1)希薄磁性体の合成と結晶構造及び磁性の評価,2)XANES測定による磁性元素の局所環境解析,3)第一原理計算による評価,4)軟X線領域高感度XANES測定装置の開発を4本の柱として進めてきている.申請時の研究計画では,初年度は主に1)の一部に相当する多結晶焼結体資料の合成とその結晶構造及び磁性評価,ならびに4)に相当する高感度測定装置の開発を進める予定であったが,それらについては概ね予定通り達成でき,また2)についても測定を開始した.2015年度においては具体的な対象となる3d遷移金属を微量に含む酸化物を中心に上記2)3)に相当するXANES測定と第一原理計算による評価を行った.また,4)については,半導体検出器に加えて,電子増倍管を用いた全電子収量測定による高感度測定も試みた.
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Strategy for Future Research Activity |
2014,2015年度は申請時の計画を概ね遂行できたので,今年度は申請時の計画に沿って研究を進めていく予定である.近年,磁性元素のK端XANES測定が可能なシンクロトロン放射光施設のビームラインでのビームタイム確保が困難であるため,申請時の予定には入っていなかった他の放射光施設(2015年度はKEK-PF)へのビームタイム申請も行い,必要なビームタイム確保を確保したが,今年度も同様の方法をさらに他の施設にも広げて行う.また,これまでの成果発表は国内学会,国際会議での発表にとどめていたが,学術誌への発表を進める.
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Causes of Carryover |
端数として発生したものであり,不用なものの購入に充てず次年度の経費として使用することとした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度予算と合わせて使用する.
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