2014 Fiscal Year Research-status Report
水素社会実現に貢献する水素インフラ用構造材料としての「耐水素鋼」の開発研究
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26630351
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
津崎 兼彰 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40179990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 良博 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40156774)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高圧水素ガス / 耐水素鋼 |
Outline of Annual Research Achievements |
燃料電池自動車と水素ステーションの普及拡大には、水素脆化しにくく低コストの新しい構造材料の開発が必要である。本研究は、現在使用が認められている高合金高コストのSUS316L鋼と同等の材料強度特性を有し、コストをその半分以下にできる新しい汎用の鉄鋼材料の萌芽としてFe-高Mn系オーステナイト合金の開発検討を行うものである。 オーステナイト相(FCC)の相安定性と塑性変形様式の新規着眼点からの新合金の設計と作製、新合金7種類の高圧水素ガス中での材料強度試験を行い、水素社会実現に貢献する水素ステーション用の「耐水素鋼」の材料萌芽を見出すことを目標とする。 本年度はまず新合金候補材料の製造と引張強度特性の試験を行った。合金製造では、CALPHAD法によるFCC相の安定性の計画を主体とした合金成分の設計を行い、候補材料を7種類製造した。これらを水素ステーション用の構造材料の評価法として確立している手法の一つであり、比較的短時間で結果を出せる低ひずみ速度引張試験を高圧水素ガス中で行った。さらに引張試験前後のミクロ組織観察とX線回折測定により試料の相安定性を調査した。これらによって候補材料のスクリーニングを行った。さらに平成27年度に計画していた候補材料のCT試験片を用いたき裂進展試験まで遂行して、水素環境下で疲労き裂進展速度が加速しない鋼種(Fe-30Mn-4Si-2Al)を見出すことが出来た。またこのFe-30Mn-4Si-2Al合金と同等の相安定性を有して大量生産可能なFe-15Mn-10Cr-8Ni-4Si合金を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に当初予定していた合金の製造と引張試験を全て完了した。その上で、平成27年度に計画していた候補材料のCT試験片を用いた疲労き裂進展試験まで遂行して、水素環境下で疲労き裂進展速度が加速しない鋼種(Fe-30Mn-4Si-2Al)を見出すことが出来た。さらに、このFe-30Mn-4Si-2Al合金と同等の相安定性を有して大量生産可能なFe-15Mn-10Cr-8Ni-4Si合金を作製した。 これらは少なくとも半年間分の研究加速につながる。
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Strategy for Future Research Activity |
Fe-30Mn-4Si-2Al合金およびFe-15Mn-10Cr-8Ni-4Si合金の疲労き裂進展試験をさらに進めて、これら合金の優れた耐水素性のメカニズムを解明する。さらに、サブゼロ処理や塑性加工処理など水素ステーション用の材料部品として想定される前処理による材料特性への影響を調査する。これらによって「耐水素鋼」としての新合金の開発を確かなものとする。
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Causes of Carryover |
H27年度分と合算することで有意義な使用が見込める。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験消耗費として使用する。
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