2014 Fiscal Year Research-status Report
Fe基ヘテロアモルファス合金を用いたナノポーラスFeの作製と金属空気電池への応用
Project/Area Number |
26630359
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原 信義 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40111257)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 泉 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20400278)
菅原 優 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40599057)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ナノポーラス鉄 / 空気電池 / 負極 / 鉄基ヘテロアモルファス合金 / ナノ結晶析出相 / アモルファス母相 / 選択溶解 |
Outline of Annual Research Achievements |
将来の電気自動車の普及のためには,現在のリチウムイオン電池の性能を越える次世代電池が必要である。その有力候補の一つは理論エネルギー密度が高い金属空気電池であるが,実用化のためには正極および負極材料の高性能化が必要である。本研究では,従来の粉末電極材料の代わりにナノポーラス電極材料を用いるという発想転換を試みる。具体的にはFe基ヘテロアモルファス合金を出発材料に用いるナノポーラスFe作製法(熱処理による「ナノ結晶化」→電気化学的制御下の「選択溶解処理」)を開発すると共に,ナノポーラスFeを負極に用いる空気鉄電池の特性を評価することを目的とする。 本年度は(1)ナノポアの元になるα-Feナノ結晶の析出制御,(2)α-Feナノ結晶のみを選択溶解させるための電気化学的溶解制御,について検討を行った。単ロール液体急冷法により厚さ20μm,幅10mmのFe85Si2B8P4Cu1合金リボン試料を作製した。温度613~698K、時間100~900sの範囲の種々の条件で熱処理した試料をTEM-EDS解析し,α-Feナノ結晶のサイズおよび残留アモルファス母相の化学組成を調べ、温度と時間によりナノ結晶粒径と母相のP濃度が変化することを確かめた。次に、純Fe、Fe基ヘテロアモルファス合金試料のアノード分極曲線を,pH1~6の硫酸酸性溶液中で測定した。その結果を基に、析出α-Feナノ結晶相と残留アモルファス相のアノード溶解特性が大きく異なり、選択溶解処理ができる条件として、溶液はpH4、電位は-0.6V (vs. SSE)と定めた。また、溶液に少量のPVPを添加すると、選択溶解性が改善されることが分かった。698K、600sの熱処理を行った試料を最適条件で定電位分極処理を行い,SEM,TEM-EDS解析を行った結果,共連続構造のナノポーラスFeが得られることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検討項目(1)の「ナノポアの元になるα-Feナノ結晶の析出制御」に関しては当初の 計画通りに,熱処理温度と時間を変えることでα-Feナノ結晶のサイズを制御できることが分かり、また、アモルファス母相にはPが濃縮することを確認できた。 検討項目(2)の「α-Feナノ結晶のみを選択溶解させるための電気化学的溶解制御」に関しては,析出α-Feナノ結晶相と残留アモルファス相のアノード溶解特性に差が生じる条件を明らかにして、最適条件での定電位処理によってナノポーラスFeを作製することに成功した。残る課題は,熱処理条件によってα-Fe粒径が変わった時の選択溶解挙動の変化をより詳細に明らかにすることである。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画は順調に進んでいるので,当初計画通りに進めることで目的は達成されると考えられる。H26年度の研究により,ナノポーラスFe作製の最適条件は明らかになったので,H27年度はナノポーラスFe を負極に用いた空気1次電池を作製し、電流密度と動作温度の影響を調べると共に、長期耐久性試験を行って、電池特性を明らかにする。さらに、アルカリ溶液中における酸化還元特性を評価して、2次電池としての動作の可能性について検討する。
|
Causes of Carryover |
本研究では多量の合金を作製しなければならないため、合金原料の材料費、試料の溶解・加工・分析費を計上していたが、所属研究室で保有していた合金を使用して成果を出すことができたため、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
主にFe基アモルファス合金を多量に作製するための合金原料の材料費、試料の溶解・加工・分析費に使用する。また、成果発表旅費や論文投稿料にも充てる。
|