2015 Fiscal Year Research-status Report
大気中における非平衡プラズマ超音速CVD成膜プロセスの開発
Project/Area Number |
26630371
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
渡邊 誠 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先進高温材料ユニット, 主幹研究員 (00391219)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プラズマCVD / 薄膜 / 成膜プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大気圧下で利用可能な低温プラズマを用いた化学気相合成法(CVD)をベースとした新しい薄膜成膜プロセスの確立を目指している。原料である有機金属前駆体(プレカーサ)がどのように大気プラズマ中にて解離し、基材上にて薄膜組織形成にいたるか、さらに得られた薄膜の特性がどのように変化するかを明らかにすることを目的としている。成膜時のガス流の速度を変化させることで、活性因子の飛行速度向上や、酸素分圧などの制御により、従来の大気下での薄膜プロセスと比較して、より優れた特性を有する材料開発を目指している。 平成27年度は、次年度までの結果に引き続き、作動ガスとしてヘリウムだけではなくアルゴンを利用した非平衡プラズマによる成膜プロセス最適化をまず進め、アルゴンを作動ガスとした場合について、プロセス条件とプラズマの状態、および薄膜形成過程への影響について調査を進めた。さらに、ガス流の高速化を行うためにノズル先端に取り付けるノズル形状について検討を進めた。また、二種類のプレカーサを用いることで、成膜時に不純物元素を意図的にドーピングするための、プロセ制御について試行を行った。得られた皮膜について、組織観察および電気抵抗評価を行い、プロセス条件との相関について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大気下での低圧プラズマを利用した化学気相成長(CVD)法による薄膜合成法ついての報告は限られており、特に、アルゴンガスを利用した非平衡プラズマについては、さらに報告例が少ない。昨年度はアルゴンプラズマ利用による成膜プロセスを確立することができ、本年度はこれに粒子速度を上昇させるためのノズル形状について、検討を進めることができた。さらに、機能性薄膜の性能に大きな影響を与える不純物元素のドーピングを可能とするためのプロセスについて、改良を進めることが出き、当初予定通り着実に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
プロセス条件とZnO膜の組織、特性の相関について、解明を進めていく。また、プラズマ中での原料分子の解離挙動解明のために、プロセス条件とプラズマ分光分析結果との対応について検討を進めていく。プロセス中のプレカーサ分子の解離挙動について解明していく。また、薄膜の光学特性や電気特性についてさらに詳細に分析を進めていく。紫外-可視分光光度計(UV-Vis)や、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)による、透過率の波長依存性の調査や、四探針法などによる電気抵抗評価を行っていく。これにより、光バンドギャップやキャリア移動度、キャリア濃度といった薄膜物性を明らかにし、薄膜組織との相関、成膜条件との相関について明らかにする。また、ガス流速度の高速化ノズルについて最適設計の検討を進め、ガス流速度が薄膜組織および物性に与える影響について、明らかにしていく。
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