2014 Fiscal Year Research-status Report
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26630373
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村上 太一 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (80374966)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 製鉄原料 / 低環境負荷 / 高速還元 / 原料劣質化 |
Outline of Annual Research Achievements |
極低温高速還元による製鉄プロセス実現のため、炭材内装鉱の原料およびプロセス条件の最適化に向け、以下の成果を得た。 1.FexOの固溶域での還元速度の測定:x値の異なるFexOを作製し、Graphiteとの炭材内装鉱の等速還元を実施し、低温度域におけるFexOの還元速度を調査した。 2.予備処理を施した鉱石を用いた炭材内装鉱の還元低温化の検討 (1) 予備還元処理によるFexOの作製とその特性調査:金属FeとFe2O3の固相反応、金属Feの酸化、およびFe2O3の還元の3種類の方法で複数のx値の異なるFexOを作製し、粉末X線回折により格子定数・x値(Fe:O比)を決定した。各試料とも反応後の冷却速度が不十分であると、FexOが分解し、金属FeとFe3O4が生成する。また、次年度実施予定であった、排熱を利用したバイオマスの乾留と鉱石の予備還元を同時に進めるプロセスの模擬炉を作製し、第1段階としてバイオマスの乾留の試験を行った。 (2) 予備処理鉱石による炭材内装鉱の還元:各FexOを用いた炭材内装鉱の還元試験を実施した。作製方法によらず、600℃程度から還元反応が開始し、800℃で完了した。Fe2O3を用いた炭材内装鉱は、同一条件で反応完了は1000であるため、200℃の低温化が可能であることを示している。しかし、原料中のS濃度が高いと反応は高温化し、この場合はx値により反応機構が異なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の実施予定項目は順調に進めえることができ、当初の見込み通り、還元反応の完了が200℃以上低温化可能であることを示すことができた。さらに、次年度に予定していたプロセスの検証をするための装置(試料連続導入型ロータリーキルン炉)の導入に取り掛かることができ、予備試験を実施することができた。例えば、ステンレス球を入れた反応チャンバ―を800℃に保持して回転させ、そこにバイオマス(10mm角)を投入し、迅速炭化を行った。一般的な炭化プロセスでは長時間を要するが、本プロセスでは15分で粉末状のバイオマスチャーが得られた。次年度には、鉱石の予備還元も同時に進めるプロセスの検討をする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、鉱石を原料として作製したFexOやGraphite以外の炭材を用いた炭材内装鉱の還元挙動を明らかにすることを予定している。実鉱石には、脈石成分と呼ばれるSiO2やAl2O3および前年度明らかにした還元反応に悪影響を与えるSなどの不純物が含まれているため、この影響を調査する。また、炭材種の影響を明確化することにより、更なる低温還元を可能にする条件を明らかにする。これらは、現状の手法の延長線上にあり、実験上の難しさはないと考える。 また、前述したロータリーキルン炉を用いて、バイオマスチャーと予備還元鉱石の混合粉末の製造を試みる。得られた原料を用いて還元挙動を明らかにする。 これらの結果をもとに、極低温製鉄の可能性を検討する。
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Research Products
(1 results)