2015 Fiscal Year Annual Research Report
放射性ステンレス微粒子を含む原発汚染水の浄化をねらう磁気分離技術の研究
Project/Area Number |
26630377
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岡 徹雄 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40432091)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超伝導材料・素子 / 磁性 / 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 / 廃棄物処理 / 反応・分離工学 / 環境負荷低減 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射性汚染水あるいはその周辺の環境水に対する浄水技術を開発することを目的とし、すでに大量処理された希薄な汚染水の、少量かつ清浄度の高い浄化をねらい、萌芽的な研究テーマとして基礎的な研究開発を行った。従来の浄水処理には凝集剤が用いられるが、添加物によって放射性物質が増える欠点があり、添加物を使わない磁気分離は有効な手段である。ステンレスには環境基準がなく水中での存在は安全上の問題はないが、粒子には吸着するセシウムやステンレスに含まれるクロムの放射化は問題となる。ステンレスの多くは非磁性とされ、通常の永久磁石での回収は困難だが、歪や欠陥が導入された粒子は弱く磁性を帯びるため、強磁場によれば効率的に吸着分離ができる。研究では様々な環境履歴の錆水や表面浮遊性微粒子など、ステンレスの様々な磁化の状態に応じてその有効性を評価する必要がある。 ステンレスの種類や形状によってその弱い磁性にも変化があり、通常の非磁性ステンレスと、より高温で利用され、原発でも使われる316系の2種類の材料の磁気特性を粉末の状態で検証した。一般に微粒子のステンレスは弱く磁性をもち、粉末あるいは粒状に水中で分散するステンレス微粉末はすでにバルク材のそれと大きく異なる。特許となった移動式磁気配管を用い、さらに磁性ステンレスフィルタを用いて分離実験を行ってその分離性能を評価したところ、100ppmのステンレス濃度では最大99.74%、500ppmでは99.93%の分離率を達成した。このことにより、高分離率で継続運転可能なことが明らかとなった。なお、本研究に関連して出願された特許が第5846536号として平成27年に権利化された。1年半にわたる検討結果を今後は新たなステンレスの分離法として広く公表していく。
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