2014 Fiscal Year Research-status Report
高分子薄膜内のナノ粒子2次元配列構造形成機構の解明及び構造制御指針の確立
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26630385
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塚田 隆夫 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10171969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿尻 雅文 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (60182995)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高分子薄膜 / ナノ粒子 / 2次元配列 / アニーリング / 状態図 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高分子ナノコンポジット薄膜材料の設計・制御,特にナノ粒子の薄膜内空間構造の設計・制御指針の確立に資するため,超臨界水熱法により合成した有機分子表面修飾無機ナノ粒子を内包する固体基板上の高分子薄膜を対象として,ナノ粒子の薄膜内空間構造に及ぼす諸因子の影響を検討する。さらに,得られた知見に基づき,申請者らが発見した薄膜内2次元配列構造の形成メカニズムを解明するとともに,ナノ粒子/高分子薄膜/基板複合系の状態図を提示する。本年度は以下の項目を実施した。 (1) 本研究の目的を達成するための手段,すなわちナノ粒子の合成法,薄膜調整法,ナノ粒子の薄膜内空間構造観察法(TEM, AFM)を確立した。 (2) 超臨界水熱法により合成したオレイン酸修飾CeO2ナノ粒子を添加したポリスチレン(PS)ナノコンポジット薄膜を対象として,薄膜の熱アニーリング前ではナノ粒子は薄膜表面に偏析し,PSのTg以上で加熱するとナノ粒子は2次元構造を維持したまま基板側に移動することをTEM観察により示すとともに,ナノ粒子の空間構造に及ぼす基板の濡れ性,ナノ粒子濃度,初期膜厚の影響を明らかにした。また,PS薄膜中のナノ粒子の移動メカニズムの解明に資するため,熱アニーリングに伴う残留溶媒の物質移動及び薄膜表面のモルフォロジー変化に及ぼすナノ粒子濃度,初期膜厚の影響を検討した。 (3)(2)の現象のメカニズムを明らかにするための理論的手段として,3成分系のCahn-Hilliard方程式を基礎に,溶媒蒸発に伴うナノコンポジット薄膜の構造形成シミュレーションコードの開発に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に示すように,本研究を遂行するために必要な試料調整法,ナノ粒子の薄膜内空間構造の観察法等を確立し,ナノ粒子の空間構造といくつかの影響因子との関係を明らかにできたこと,さらには現象のメカニズムを解明するために,実験だけでなく数値シミュレーション手法の開発にも着手したことを考慮し,上記のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の点を重点的に実施する。 (1) 高分子ナノコンポジット薄膜のアニーリングに伴いナノ粒子が2次元構造を維持したまま薄膜中を移動する現象のメカニズム解明を目指し,実験及び数値シミュレーションの両観点から検討を行う。 (2) ナノ粒子/高分子薄膜/基板複合系の状態図を作成するために,ナノ粒子表面の有機分子修飾鎖の種類及び被覆率,ナノ粒子濃度,高分子の種類及び分子量,溶媒の種類,薄膜の厚さ,さらには薄膜作製時の蒸発速度等の影響因子を変化させ,各因子と薄膜内ナノ粒子空間構造あるいは薄膜表面モルフォロジーとの関係を明らかにする。
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