2014 Fiscal Year Research-status Report
多孔性錯体ナノ粒子の粒径・形状制御手法の確立と吸着機能設計
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26630391
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮原 稔 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60200200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 哲 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80402957)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 柔軟性多孔性結晶 / Metal Organic Frameworks / PCPs / ZIF-8 / マイクロリアクタ / 核生成 / ゲート吸着 / 配位空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,柔軟性多孔性結晶(Soft Porous Crystals; SPC)と呼ばれる多孔性材料が,注目を集めている。SPCは,その構造の柔軟性ゆえに無孔構造から多孔構造へとステップ状に構造転移し,これに起因する「ゲート吸着」と呼ばれる,圧力の閾値における急激なガス吸着現象を示す。本研究では,SPCが示すゲート吸着挙動を,粒子径および粒子形状という物理的因子により制御し,所望の条件での構造転移を示す材料設計指針の確立を目指す。本年度は,Zeolitic Imidazolate Framework-8 (ZIF-8)を対象とした検討を行った。実験では,金属イオンとしてZn(NO3)2水溶液と有機配位子である2-methylimidazole (2-MeIM)とを別々に,シリンジポンプを用いて一定速度でマイクロリアクタに送液し,両者を混合した。混合と同時にZIF-8粒子形成反応が進行し,リアクタからの反応液は容器に受け,1時間静置した。用いたリアクタは,放射状流路の中心部で二液を衝突させて強混合を実現するタイプで,混合時間はおおよそ1ミリ秒と迅速な混合が可能である。マイクロリアクタを用いると,バッチ式で混合した場合に比べて,粒度分布が狭いZIF-8粒子が得られた。原料濃度,反応温度を変化させて検討を行ったところ,Znイオン濃度および原料濃度比が大きいほど得られる粒子サイズは小さくなり,反応温度に依存して得られる形状が立方体,切頂十二面体,十二面体と変化した。さらに得られたZIF-8粒子の吸着特性を評価したところ,粒子サイズ,形状によってゲート吸着圧が異なることを明らかにした。さらに,シミュレーション解析についても予備検討を進め,吸着過程における自由エネルギー変化を計算することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ZIF-8粒子の粒径および形状制御を実現した上でそのゲート吸着に与える影響を明らかにするなど,研究実施計画で示した内容が達成できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,当初の予定どおり,ZIF-8を対象に吸着シミュレーションによる詳細検討を行う。26年度に得られた実験結果との比較を通して,現象の解明を試みる。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が良好で旅費が当初の見積もりより大きくなったため,実験消耗品を購入するにはわずかに予算が不足した。その実験消耗品は,次年度の内容を少し先取りして行うために必要な物品であったこともあり,適切に予算を使用し研究を遂行するには,次年度の予算と併せて執行することが適切であると考えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上で述べた実験消耗品を,次年度予算と併せることで購入する。
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Research Products
(13 results)