2014 Fiscal Year Research-status Report
正浸透膜システムで用いる駆動溶液の創製に基づくゼロエネルギー究極海水淡水化の実現
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26630392
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松山 秀人 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50181798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神尾 英治 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30382237)
高橋 智輝 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80535518)
三好 太郎 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80587791)
佐伯 大輔 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70633832)
安川 政宏 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20647309)
三野 泰志 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70709922)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 正浸透法 / 駆動溶液 / 海水淡水化 / 浸透圧 / 磁性粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.高浸透圧の発現と磁性回収を両立する機能性微粒子の創製 本年度は、磁場による回収が可能な駆動溶液(DS)の開発を目指し、高分子電解質で修飾された磁性粒子の作製を行った。ソルボサーマル法とゾル-ゲル反応を利用することにより、150-360 nmの範囲で粒径およびシェル厚みが制御されたシリカシェルを有する磁性粒子を作製した。次に、APTSとBIBBから合成した重合開始点を有するシランカップリング剤(BTMS)を粒子表面に修飾し、SI-ATRP法による高分子電解質(poly(NaAA))の修飾を行った。作製条件を最適化することにより、3種類の異なる粒子径をもつ磁性粒子に対して、それぞれ修飾量が異なる3種類 (計9種類) の粒子の作製に成功した。作製した磁性粒子は、磁場による回収を10回の繰り返し試験後も粒子の凝集は確認されず、回収後の再分散性も良好であった。粒子分散液は、海水の2/3程度(800mmol/kg)の浸透圧を有しているものの、海水の淡水化を成し得るためには不十分であり、次年度も引き続き浸透圧改善に向けた検討が必要である。 2.異なる駆動溶質における正浸透膜法の水輸送に関する理論的解析 本項では、異なる分子量のポリエチレングリコール(PEG)をモデルDSに用い、DS種がFO膜の透水性能に与える影響について検討を行った。既存の透水理論式にビリアル係数を導入し、浸透圧と拡散係数を厳密に考慮することにより、高分子に適用可能な理論式を構築した。新たに導出した理論式を用いることにより、実験結果と計算結果に良好な一致が見られた。FO膜の水輸送に関して理論的な解析を行った結果、FO膜の固有パラメータ(A, B, S値)を用いて異なるDS種の水流束を予測することが可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正浸透膜システムで用いる駆動溶液の創製、および異なる駆動溶質における正浸透膜法の水輸送に関して詳細な検討を加え、これらの成果は下記のように、論文発表や学会発表を行った。このようにほぼ当初の計画通り一定の結果を得たと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の駆動溶液(DS)の創製においては、海水淡水化を実現し得る十分な浸透圧が得られていないことから、海水の2倍以上の浸透圧値を目標に、次年度も引き続き高性能な駆動溶液の開発に注力する。開発においては、磁性粒子を用いるコンセプトにとらわれず広範な材料、例えば、温度応答性高分子やイオン液体などについても検討を加える。 また、浸透圧性能だけでなく、実際の海水淡水化を想定し、海水相当の食塩水や実海水を供給するに用いた水透過試験や膜からのDSの漏洩(逆拡散)などの評価にも着手する。DSに要求される性能としては、高い浸透圧、低漏洩性をはじめ、容易な分離再生能、高拡散性、低粘性、低コスト、低環境負荷なども挙げられるため、多角的な特性評価も行う予定である。これら一連の性能に基づいたプロセス設計とフィージビリティスタディを行い、総合的な知見に基づき究極の海水淡水化の実現を目指す。
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Causes of Carryover |
少額の残額が発生しているが、今年度は概ね予定通りに研究が進行したと言える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額に関しては次年度の消耗品費として使用予定である。
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