2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナノサイズで新規な構造を有するナノ電池の創製と原理検証
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26630401
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岸田 昌浩 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60243903)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シリカ被覆金属ナノ粒子 / カーボンナノチューブ / 半電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度は,ニッケルコア-シリカシェルナノ粒子および鉄コア-シリカシェルナノ粒子からのカーボンナノチューブ(CNT)生成および,その試料の半電池としての電気化学的評価について検討した. ニッケルコア-シリカシェルナノ粒子からは,研究着想時と同様に,シリカ層を破壊することなくCNTの生成を観察することができた.その試料のシリカ層厚さは約50nmであった.しかし,シリカ層の形成条件を変化させると,CNT生成時にシリカ層が壊れる試料も多かった.また,シリカ被覆構造を保ったままCNTが生成する条件が,シリカ層厚さとは無関係であり,その鍵となっている条件を特定することができなかった.一方,昨年度までCNT生成時にシリカ層が破壊されていた鉄コア-シリカシェルナノ粒子においても,シリカ被覆構造を保ったままCNT生成できる条件を見出すことができた.その試料のシリカ層厚さは10nmと薄かったが,この厚さなら必ず安定にCNTが生成するわけではなかった. いずれの試料もシリカ被覆後にサイクリックボルタムグラム(CV)を測定したところ,コア金属の酸化還元挙動は認められず,完全被覆されていることを確認できた.次に,CNT生成後の試料のCVを測定したところ,ニッケルコアの試料ではニッケルの酸化還元ピークがほとんど確認できなかったのに対して,鉄コアの試料では,CNT生成後に鉄の酸化還元ピークを観測できた.両者の違いはシリカ層厚さであるが,TEMで観察しても両者の決定的な違いはわからなかった.結果的にシリカ層の薄い試料でのみCNTを介してコアである金属の電気的導通が得られたと言えるが,系統的に性状を変化させた試料でCV測定を行えなかったため(CNT生成によるシリカ層の破壊により),CNTを介してシリカ層の内外の電気的導通が得られたかどうかを結論づけることはできなかった.
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