2014 Fiscal Year Research-status Report
メカノケミカル反応によるリグノセルロースの全可溶化
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26630406
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高垣 敦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30456157)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオマス / 固体酸 / メカノキャタリシス / セルロース |
Outline of Annual Research Achievements |
草本系、木質系バイオマスを構成するセルロース、リグニンらの頑丈な天然高分子を、低分子化し、可溶化させることはバイオマスの利活用において重要なプロセスである。固体触媒によるバイオマス分解は、廃棄物が少ない、繰り返し使用が可能、短時間での処理が可能などのポテンシャルを有しているものの、固-固反応となるため反応効率の改善が最も重要である。 本研究では、固体触媒をセルロース、ヘミセルロース、リグニンを含むリグノセルロースバイオマスと直接混合し、共に乾式粉砕(メカノケミカル反応)処理をすることで、各成分の低分子化を図る。 本年度では、微結晶性セルロースを反応基質として用い、混合粉砕反応に最適な触媒を探索した。種々の酸塩基性、形態の異なる固体材料を用いてセルロースをボールミル粉砕したところ、層状構造と固体酸性を有する材料(カオリナイト、モンモリロナイト、HNbMoO6)を用いたとき、水溶性の分解物が得られた。特に強酸性を有するHNbMoO6では、最も高い収率で可溶糖が得られた。水溶性分解物には、グルコース、マンノース、レボグルコサンらの単糖に加えて、セロオリゴ糖が多く含まれた。またそれらのアンヒドロ糖も生成していることがわかった。セロオリゴ糖は、セロヘキサオースまで水への溶解性があるが、それ以上の長鎖を有するセロオリゴ糖は不溶である。しかしながら、質量分析より、グルコースユニットが7以上の化合物も含まれていることがわかった。これは、セルロースに含まれるβグリコシド結合が粉砕中にαグリコシド結合へと変換したものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メカノケミカル処理によるセルロース分解に有効な触媒を見出し、その反応活性の評価、反応機構の解明までほぼ明らかにしてきた。また、リグニン分解においては、モデル化合物によるスクリーニングを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
リグニン分解およびリグノセルロース(杉)を反応基質として用い、メカノケミカル処理による可溶化を実施する。
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Causes of Carryover |
スクリーニング実験を優先させたため、当初予定したよりも反応スケールを小さく、反応に必要な試薬の購入が若干少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
反応および分析に必要な試薬等の購入に充てる。
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