2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26630415
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
古南 博 近畿大学, 理工学部, 教授 (00257966)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光触媒 / 酸化チタン / 部分水素化 / 化学選択性 / ジアステレオ選択性 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化チタン(IV)(TiO2)光触媒は、そのバンドギャップ以上のエネルギーをもつ紫外光を照射されると、価電子帯の電子が伝導帯へ励起し、正孔と励起電子を生成する。正孔は酸化反応、励起電子は還元反応を引き起こす。この酸化還元反応は、1)人体に無害、2) 常温常圧で進行、3)遮光により反応の制御が容易などの特徴から、非常に環境負荷の小さい反応であり、有機合成に応用することで安全な物質変換プロセスの構築が期待される。 アルキンからアルケンへの部分水素化は、ビタミンAやβ-カロテン、香料、医療分野における生理活性物質などの合成に応用されており、化学工業において重要な反応である。しかし、多くの場合、アルキンの水素化はアルケンで停止せず、アルカンまで進行してしまう。これまで、アルキンからアルケンへの選択的部分水素化にはリンドラー触媒が広く用いられていたが、触媒毒として有害な鉛を使用する、反応系に多量のキノリンを添加する必要がある、などの問題があり、環境調和の観点からは望ましくない。本研究では、銅(Cu)担持TiO2光触媒(Cu-TiO2)による、水素(H2)を使用しない条件下、アルキンの水素化を検討した。 アルコールを溶媒として用いると、各種アルキンの部分水素化が進行し、ほぼ定量的にアルケンが生成した。また、内部アルキンを用いた場合、syn付加が選択的に進行し、cis体のみが生成した。さらに、ニトリル基やハロゲンをもつアルキンを用いると、対応するアルケンが高い収率で生成した。以上のように、Cu-TiO2光触媒を用いることにより、H2や有害な添加物を使用することなく、C≡C結合の化学選択的およびジアステレオ選択的部分水素化が進行することを明らかにした。
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Research Products
(9 results)