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2014 Fiscal Year Research-status Report

交流電圧と直流電圧を併用した斬新な細胞分離法の開発

Research Project

Project/Area Number 26630417
Research InstitutionGunma University

Principal Investigator

箱田 優  群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (00302456)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywords誘電泳動 / 細胞分離法 / 直流重畳交流電圧
Outline of Annual Research Achievements

研究実績は、申請時の研究計画通りに進捗している。以下に、各検討項目を示す。
(1)電磁界シミュレーションソフトによる電場傾度
COMSOL Multiphysics を用いて、スリット幅100、300、500μmでのスリット中心部から電極までの間の電場解析を行ったところ、スリット幅が小さくなるほど、電場強度E及び、電場傾度∇E2の値が大きくなることが明らかとなった。よってシミュレーション結果からは、分離には幅100μmの絶縁板が適していると考えられる。スリット幅は小さい方が良いことが立証されたが、対象細胞の大きさと工作の問題から100μmが最小との結論を得た。
(2)スリット付絶縁板型誘電泳動装置における操作条件の検討
交流電圧周波数5kHz、オフセット電圧3-7 V, 交流電圧40-80Vppの実験条件で以下の分離実験を実施した。マウスハイブリドーマ3-2H3細胞では、オフセット電圧を変化させた場合、5.0 V以上の印加電圧で電場ストレスに耐え切れず、細胞破裂を起こすことが明らかとなった。ポリビーズでは、オフセット電圧を増大させれば保持率が低下し、交流電圧を増大させれば保持率が上昇する結果が得られた。装置を横向きにして分離実験を行うことで、ポリビーズに重力沈降の影響が顕著に現れ、3-2H3細胞の保持率との差が大きくなった。また、装置横向きでスリット幅300μmの絶縁板を用いることで、今回の実験条件範囲内で保持率の最大差約60ポイントを得ることができた。全ての実験条件において、保持率の大きさはスリット幅100>300>500μmの絶縁板を使用した順であった。これは、スリット幅が小さくなるほど、誘電泳動力に作用する∇E2が大きくなるという電場解析結果と一致する結果となった。また、スリット幅が小さくなるほど、誘電泳動力が支配的に働くことが検証された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

スリット幅100、300、500μmでの電場強度、電場強度の解析を行い、誘電泳動および電気泳動の可能性を立証した。
さらに、初年度の研究計画の通り、スリット1本に関して、交流電圧周波数5kHz、オフセット電圧3-7 V, 交流電圧40-80Vppの実験条件で以下の分離実験を実施した。その結果、細胞とポリビースの保持率およびそれらの分離効率を評価することができた。細胞に関しては、交流電圧の影響により、交流電圧の増大に伴って保持率が増大した。ポリビーズに関しては、オフセット電圧の影響を大きく受け、オフセット電圧の増大に伴って保持率は減少した。それぞれのサンプルは、交流電圧とオフセット電圧に影響を受けるが、スリット幅が300μmの場合が、結果的に最大の分離効率を示した。
これらの初年度の実験結果をもとに、絶縁板のスリット数を増やした実用的な分離装置を設計し・試作し、その有効性を検証する。

Strategy for Future Research Activity

初年度の研究結果では、直流重畳交流電圧を用いたスリット1本の絶縁板型誘電泳動装置における分離特性の解明を行い、分離結果に及ぼす絶縁板形状の影響に関する知見が得られた。しかし、今回の実験条件内での保持率の最大差は60ポイントとまだ小さいので、さらに効果的に分離を行えるように改善できると考えられる点を以下に示す。
(1)周波数の検討:誘電泳動力における重要な因子である周波数の検討が本装置ではまだ行われていない。今回の実験では周波数5kHzで統一したので、周波数を変化させて実験を行い、その影響の検討をする。
(2)スリット数の変更:本装置であるスリット付絶縁板型誘電泳動装置は、除去対象の細胞・粒子がスリットを透過しやすいように作製された装置である。しかし、今回の実験では除去対象であるポリビーズが100%透過液側から流出しなかった。このため、スリット数を増やすことで、除去対象の細胞・粒子がスリットをより透過しやすくなることが考えられる。
(3)スリットの断面形状:現在までの結果よりスリット断面(保持液側を狭く、透過液側を広く)を変化させることにより、分離効率が向上することが解析的に明らかになっているため、それを実験的に検証し、より有効な分離装置の開発を目指す。
(4)多種細胞の分離:マウスハイブリドーマ3-2H3細胞と赤血球など、二種類の細胞の混合系を用いて分離効率を検証する。 以上の結果をもとに、本分離装置の実用化と製品化を目指す。

Causes of Carryover

初年度に実施した実験により分離装置を専門業者へ製作依頼する予定であったが、電場解析や実験の遅れ等で分離デバイスの発注が間に合わなかったため、デバイス等の製作費用が次年度の使用になった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

昨年度のデータの結果をもとに、早い時期に分離デバイスの設計・製作に着手する予定である。
さらに、今年度は、異種細胞等の分離を行うため、細胞の購入や培地等の試薬の購入も必要となる。

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Published: 2016-05-27  

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