2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26630421
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
中村 史 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 客員教授 (40357661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池袋 一典 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70251494)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分子クラウディング / ナノニードル / モレキュラービーコン / 核酸分子 / 結合速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内の分子挙動を知ることは、生命活動そのもののダイナミクスを解き明かすことに直結する。オルガネラや、巨大分子によって作り出される分子クラウンディングと呼ばれる細胞内環境は、緩衝液中と全く異なり、水の活量は著しく低下していると考えられている。 細胞内で核酸分子がどのように振る舞うか、その挙動を解析するため、核酸と配列特異的にハイブリダイゼーションするモレキュラービーコンを用い、細胞内の分子挙動を詳細に調査することが本研究課題の目的である。平成26年度の研究では、モレキュラービーコン修飾ナノニードルを用い、細胞内のmRNAのin situ検出を行い、細胞内のmRNAの結合速度定数がin vitroと比較して増大することを見出した。一方、分割蛍光タンパク質の蛍光回復試験を行った結果、むしろ細胞内の方が、結合速度定数が小さいことがわかり、分子種によってその挙動が異なることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト細胞内のハウスキーピング遺伝子であるGAPDHのmRNAを標的とし、モレキュラービーコン修飾ナノニードルを用いたハイブリダイゼーション解析を行った。モレキュラービーコンの5’末端には蛍光検出のためのalexa488が、3’末端側には表面修飾のためのビオチンが修飾されており、アビジンビオチン結合によりナノニードル表面にモレキュラービーコンの固定化を行った。モレキュラービーコン修飾ナノニードルをヒト子宮頸癌細胞HeLa細胞に挿入し、共焦点蛍光顕微鏡を用いて蛍光強度の経時変化を観察した。in vitroの対照試験は、20wt%PEG200を含む細胞質模擬緩衝液(pH 7.4)中で、1 μMのssDNAを用いて行った。HeLaのGAPDH mRNAは約2500分子存在することがわかっているので、細胞体積を1 pLとし、細胞内のGAPDH mRNA濃度を4 nMと見積もった。またin vitroの試験の結果、標的ssDNAを含まない緩衝液に交換後も蛍光強度の低下が観察されないことから、解離速度定数はゼロとして回帰を行った。その結果、in vitroで得られた結合速度定数と比較して、細胞内では5倍程度大きいことが示された。 一方、ナノニードルを用いて分割蛍光タンパク質の蛍光回復を観察する試験により、結合速度定数の測定を同様に行った結果、細胞内の結合速度定数はin vitroのそれの1/7程度であることが明らかとなった。細胞内は巨大分子が非常に混みあった分子クラウディング環境であり、排除体積効果が結合速度の増大に寄与すると考えられるが、本検出系では細胞内で遠位にあるmRNA分子も針表面に到達しなければならないため排除体積効果では説明出来ない。むしろ分割蛍光タンパク質のように拡散阻害が起こることが予想される。得られた結果は、分子種によってその挙動が異なることを示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は核酸のリン酸エステルが細胞内の分子挙動に影響を与えると考えている。まずは、in vitroの試験により、リン酸エステルが結合速度に与える影響を調べる。モレキュラービーコンの標的配列のssDNAに対して主骨格のリン酸エステルがホスホロチオエートに置換されたS-オリゴと、ペプチドに置換したペプチド核酸(PNA)を用い速度解析を行い、リン酸エステルが分子挙動に与える効果を調べる。 まず、シリコン表面にモレキュラービーコン修飾し、細胞模擬緩衝液中のS-オリゴ、PNAの2種類の標的核酸分子とモレキュラービーコンとの結合速度定数を求める。その後、HeLa細胞にそれぞれの標的核酸分子を導入し、続いてモレキュラービーコン修飾ナノニードルを細胞へ挿入することで細胞内での結合速度解析を行う。試験した標的核酸分子間で顕著な差違が観察された場合には、DNA、S-オリゴ、PNAの誘電緩和スペクトル解析を行う。
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Causes of Carryover |
H27年度研究において、誘電緩和スペクトル測定のための試料が40mg必要である。そのための費用を留保した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
S-オリゴ40 mgの合成費用に充当する。
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Research Products
(6 results)