2014 Fiscal Year Research-status Report
特定の細胞集団のみを選択的に包括することを可能とする革新的細胞包括法の創出
Project/Area Number |
26630428
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
境 慎司 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (20359938)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 細胞包括 / 1細胞計測 / 細胞適合性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、さまざまな細胞を含む細胞集団から特定の集団に属する細胞のみを選択的に、細胞よりわずかに大きなハイドロゲル粒子に1個ずつ別々に包括する方法の創出に取り組んでいる。平成26年度には、まず、ヒト肝臓ガン由来HepG2細胞表面のCD326をターゲットにして蛍光標識された抗CD326抗体に市販のキットを用いて西洋わさび由来ペルオキシダーゼ(HRP)を修飾した後、それを溶解させた溶液にHepG2細胞とCD326を発現していないマウス繊維芽細胞を分散させた。その後、アルギン酸ナトリウム誘導体水溶液に細胞を分散したところ、HepG2細胞表面のみにゲルが形成し、選択的な細胞包括に成功した。また、HepG2細胞と抗CD326抗体の組み合わせ以外に、ヒト血管内皮細胞と抗CD31抗体の組み合わせに関して検討を実施し、同様に選択的な包括が可能であることを確認した。また、共焦点顕微鏡を用いた観察により、細胞表面に形成したヒドロゲル皮膜の厚みが約1 マイクロメートル程度であることを明らかにした。さらに、皮膜を形成させた後の細胞の生存率を計測および、アルギン酸リアーゼにより皮膜を除去した後の細胞の増殖を評価した結果、この包括法は細胞に対して穏和な条件が存在することを明らかにした。さらに、細胞特異的にゲル粒子に包括することで細胞周囲の環境を制御し、機能発現や幹細胞の場合には分化を制御することができることを示すためには、アルギン酸誘導体以外のゼラチン誘導体およびヒアルロン酸誘導体にも適用可能であることを実証することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に検討し実証する予定としていた項目は全て達成することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定どおり、平成27年度は本研究が成功することによって作製が可能となる細胞包括ゲル粒子の応用を考えた「ハイドロゲル層の透過特性・強度の制御に関する設計指針を明らかにするための検討」および「細胞包括ゲル粒子を包括されなかった細胞を含む集団から選別することに関する検討」を実施し有望な結果を得ることを目指す。現段階では研究を遂行する上での解決すべき課題は特にない。
|
Causes of Carryover |
当初の予定以上に順調に研究が進んだため、消耗品の消費が抑制できたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
より研究の進度を速めると共に、より本研究の有用性を実証するための、より挑戦的な実験を実施するための消耗品の購入に使用する。
|
Research Products
(3 results)