2015 Fiscal Year Annual Research Report
特定の細胞集団のみを選択的に包括することを可能とする革新的細胞包括法の創出
Project/Area Number |
26630428
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
境 慎司 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (20359938)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生体材料 / 細胞包括 / カプセル / ヒドロゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、さまざまな細胞を含む細胞集団から特定の集団に属する細胞のみを選択的に、細胞よりわずかに大きなハイドロゲル粒子に1個ずつ別々に包括する方法の創出に取り組んだ。 平成27年度は、前年度の検討に引き続いて、前年度に確認した天然高分子であるアルギン酸、ゼラチンおよびヒアルロン酸の誘導体以外の材料として、合成高分子であるポリビニルアルコールにフェノール性水酸基を導入した材料に関して、同様に皮膜形成が可能であることを実証した。また、これまで皮膜の厚みの測定に蛍光顕微鏡を使用していたが、観察される蛍光の散乱などにより正確に膜厚を測定できているかどうか不明であったことから、新たに原子間力顕微鏡を用いて厚みの計測を試みた。具体的には、原子間力顕微鏡のプローブをヒドロゲル皮膜に突き刺し、ゲルと細胞膜との力学的特性の違いを利用して、ゲル皮膜の厚みを測定することを試み、この方法が有効であることを実証することができた。この計測により測定された皮膜の厚みは、蛍光顕微鏡による観察によって推測された値とほぼ同じであった。これらの検討に加えて、本研究で開発した細胞包括ゲル粒子作製法が広く使用するようになるために不可欠である、ヒドロゲル皮膜が形成した細胞とそうでない細胞を容易に選別するための方法について検討を行った。具体的には、壁付着性細胞に対して、その性質を利用して選別することを試みた。その結果、皮膜が形成した細胞とそうでない細胞が混在した状態で、数時間細胞培養皿上に培養液に分散した状態で静置するという簡単な操作により、ヒドロゲル皮膜が形成していない細胞だけを培養皿に接着させることで、95%以上の純度で皮膜の形成していない細胞を分離することに成功した。
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Research Products
(6 results)