2015 Fiscal Year Annual Research Report
立方晶窒化ホウ素を材料に用いた電界放出型電子源の性能評価
Project/Area Number |
26630444
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 直嗣 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (40380711)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大川 恭志 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門 第二研究ユニット, 研究員 (20415920)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 人工衛星 / 電子源 / 立方晶窒化ホウ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
cBNをエミッタ材料に用いた電界放出型電子源を開発した.昨年度の成果として、この電子源において印加電圧3.48 kVにて,107マイクロアンペアの電流を引き出すことに成功していたが,構造に問題があり,電極間の距離が電界を印加すると撓んで一定とならず,安定した電流値を引き出すことができず,また,電子の引き出しの際に異常放電が頻繁に発生した. そこで本研究の目的は新たな電極および電極保持機構を持った電子源に改良し,その性能を評価した。 今回作成した電子源は,cBN薄膜が製膜されたシリコン基板の上に,マスク電極,ポリイミドで作成した電気的な絶縁をするためのインシュレータ,ゲート電極,電極固定用の厚さ1mmのセラミックの板を重ね,ネジで固定する構造となっている.以前は電極の端で電極を支えていたのに対して,本研究で作成した電子源では電極をインシュレータの中央部にある4つの穴の縁で電極を支えることができるようにしたため,支持部の距離が短くなり,撓みにくい構造となった.また,マスク電極の厚さを20 µmから50 µmに変更して撓みにくくした.たわみを計算したところ、最大変位量は0.13 mmであったのが、改良後は0.043 mmと約1/3になっていることが分かる. 実験は国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所内のスペースサイエンスチャンバにおいて行った.真空環境としては1×10-5Pa以下の真空度で実験を行った. 改良したcBN電界放出型電子源を印加電圧を徐々に増加させたときの引き出し電流の時間履歴を示す。200秒間(印加電圧2.4 kV から3.4 kVまで上昇)に起こる異常放電の回数をカウントしたところ、改良前の電子源では異常放電は84回あったのに対して,改良後の電子源では、8回と約10分の1に抑えることができた.
|