2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26630453
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飯島 一博 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50302758)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | VLFS / 崩壊 / 粒子法 / 弾性応答 / 塑性応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度中は(1)粒子法と有限要素法の連成による解析ツールの整備,(2)縮尺模型実験の設計,(3) 縮尺模型を用いた崩壊実験の試行,を行った. (1) については粒子法の一手法であるSPHを用いた公開コードであるSPHysicsと自作の有限要素梁モデルを連成させて崩壊挙動解析ツールの作成を行った.従来から知られている大型浮体の流力弾性応答と比較して,おおむね妥当な応答が評価可能であることを確認した.さらに,商業用の有限要素法ソフトウェアであるABAQUSとSPHの連成も試みた.現段階では安定性の問題があることがわかり,十分な精度が得られているとは言い難いが,将来の発展に大きな可能性がある.検証のためのブイ模型を製作し、二次元水槽において実験を行った。この結果の一部を日本船舶海洋工学会の講演会において発表した。 (2) については大型浮体の崩壊事象を簡易化した上で得られた解析解を元に,実験模型に要求される力学的相似についての検討から,縮尺模型の設計を行った.解析解によれば構造剛性と静水圧による復原力係数の比から得られる特性距離を相似にすること,縦曲げ強度を相似にする必要があることが判明し,この考察から二弾性体の中間に崩壊メカニズムを埋め込む設計を考案した.崩壊メカニズムにはヒンジと直径5mmの丸棒状の犠牲試験片を用いる. (3) については(2)で開発した設計を元に模型製作を行い,大阪大学地球総合工学専攻の所有する二次元水槽において試行的に水槽実験を実施した.この結果,開発した設計に基づいた縮尺模型について,波高が低い範囲では弾性体として挙動すること,さらに大型浮体の弾塑性崩壊現象を再現するために適当であることがわかった.この実験結果に基づいて対外論文をとりまとめている.平成27年度中に開催されるHydroelasticity国際会議で公表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時は平成26年度中は「SPHと梁FEMを用いた弾塑性数値シミュレーション法の開発」と「同シミュレーション法のブイ模型による二次元水槽での検証」を予定していた。数値シミュレーション方法の開発については,連成計算コードの開発を実施し,簡単な対象構造物に関して基本的な機能についての動作を確認した.実験との比較を行い、概ね波浪中の非線形振動を再現できることを示した。一方で長時間シミュレーションに課題を残した。以上から、平成26年度中に予定した項目を概ね達成できたといえる.また,大型浮体の崩壊現象を再現するための実験模型の設計・開発を先行して行い,縮尺模型を製作した上で,すでに試行的に崩壊実験を行い,設計について確認を行っている. 本研究の目的は粒子法と有限要素法を連成させた流力弾塑性手法を確立することであり,そのために必要な数値シミュレーションツールの整備と実験についてそれぞれ基本的な項目を達成できたと考えている.
以上から本研究は順調に進展していると評価できる.さらに,縮尺模型を用いた実験については,元々は平成27年度に予定していたものでもあるので,一部を先行して実施できたといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度中は前年度に開発した縮尺模型を用いて,流力弾塑性応答特性(極限海象中での崩壊特性)が把握できるようなパラメトリックな実験を行う必要があると考えている.得られた特性が数値シミュレーションで再現できれば,目的を達成することができるので,実験と数値シミュレーションの展開を行いたい. 実験については荷重条件を変えるなどしてケース数を増やした実験を実施する.荷重条件を換えるほかに支持浮体の形状を変更する,浮体の曲げ剛性を変更するなどのケースが考えられ,今後慎重に最も有効な方法を検討して,崩壊特性を把握する. 数値シミュレーションについては計算機の容量を増やし、計算対象中の粒子の数を増加させることでより大型の浮体の解析が実行できる.大型構造物への拡張を行い,実験に対応するパラメトリック計算を行い,数値シミュレーションツールの確立を進めていく.
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