2014 Fiscal Year Research-status Report
天然CaCO3コンクリーションによる透水性亀裂シーリングのナチュラルアナログ研究
Project/Area Number |
26630464
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 英一 名古屋大学, 博物館, 教授 (30324403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城野 信一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (20332702)
丸山 一平 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (40363030)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 炭酸塩コンクリーション / 応用地質 |
Outline of Annual Research Achievements |
天然の球状コンクリーションは,岩石中の亀裂や空隙に炭酸カルシウム(CaCO3)が濃集・沈殿し,完全にシーリングすることによって,数万年~数十万年以上の長期にわたって地下環境中で安定に保存されているものである.これは,地下岩盤中の透水性亀裂をどのように長期にかつ安定にシーリングすることができるのかの‘天然の類似現象(ナチュラルアナログ)’である.本申請研究は,その形成メカニズム,保存システムを工学技術に応用し,地下岩盤中の透水性亀裂の長期シーリング技術への適用を目指すことを目的とする.炭酸カルシウムが数十%以上濃集している球状コンクリーションは,堆積岩中に普遍的に,かつ安定に存在することが確認されている.このコンクリーションは,数万年~数十万年以上にわたる風化や変質に耐え,その形態を保つ.その理由は,コンクリーション中の亀裂や空隙が炭酸カルシウムによって充填,シーリングされることで,外部からの地下水の浸透が遮断され,地下水との反応が抑制されるためである.近年では,液化天然ガスの地下備蓄や放射性廃棄物の地下処分など,長期に渡る地下水の止水技術の高度化が求められている.とくに放射性廃棄物などの地下処分においては,100年を超える地下坑道での操業期間中での安全性を担保できる技術が不可欠である.このような長期に及ぶ状態を評価するためには,実際に長期にわたって安定に存在し続けてきた‘天然の類似現象(ナチュラルアナログ)’から学ぶしかない.本申請研究では,このような背景のもと,天然コンクリーションを応用地球科学的に調査・分析し,実験を通して,その形成プロセスの工学技術への応用を試みる.本年度は、初年度として野外調査を開始し、複数箇所での調査研究を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期の通り、複数箇所での調査研究を行うことができ、研究試料の採取も行うことができた。これらを元に、次年度の調査研究、分析をすでに開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
海水と腐食酸(-COOH)を基本とした炭酸カルシウムの拡散に伴う沈殿形成実験を行う.海水を用いる理由は,全ての天然コンクリーションが海底堆積物中に形成されていること.また,コンクリーション中の化石殻が溶解せずに保存されていることによる.つまりコンクリーションのCa2+は海水起源であることを示す.このような実験条件によって,炭酸カルシウムの微小結晶が成長しているかどうかについては,偏光顕微鏡,走査型電子顕微鏡(SEM)およびエックス線マイクロプローブ分析器(EPMA)を用いて分析・確認する.その形成速度,量を定量し,モデル化のための基本パラメータを取得する.
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Causes of Carryover |
次年度での調査研究費として、当初予定していた予算額より若干増加する見込みが生じたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査出張費および消耗品として使用する予定
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