2015 Fiscal Year Research-status Report
トーラスプラズマのスクレイプ・オフ層を活用した新たな周辺プラズマ制御法の開発
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26630476
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
東井 和夫 核融合科学研究所, その他部局等, 名誉教授 (20093057)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プラズマ・核融合 / スクレイプ・オフ層 / ダイバータ / 静電バイアス / 共鳴摂動磁場 / 周辺局在化モード |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的] 新規のダイバータ静電バイアス法によりトーラスプラズマの最外殻磁気面(LCFS)のすぐ外側の開いた磁力線領域に存在するスクレイプ・オフ層(SOL)プラズマ中にトロイダル方向に分離した複数のシート状電流を駆動することにより、プラズマ周辺部で生ずる巨視的不安定性や微視的乱流輸送の能動的制御法を開発する。さらに、国際熱核融合実験炉(ITER)などの核燃焼プラズマへの本制御法の適用性を物理学的及び工学的側面から評価する。 [研究実績]九州大学応用力学研究所の球状トカマク装置QUESTに静電バイアス可能なダイバータ板をトロイダル方向に90度間隔で設置し、それぞれ独立に印加電圧の位相制御ができるように各バイアス板に専用のバイポーラ電源を接続した。QUEST装置ではトロイダル電流駆動のための入射高周波電力が十分高くない条件下では「閉じた磁気面がなくSOL領域のみからなる円筒プラズマ配位」が容易に生成される。このプラズマの線平均電子密度は1.0E17 m-3程度であり、設置したダイバータバイアス板を通過する電流は1 A程度と予想され、設置したバイポーラ電源で駆動可能である。同ダイバータバイアス板とバイポーラ電源との間の電磁ノイズ遮蔽を入念に行った。SOL電流制御のため、直流及び100kHzまでの交流バイアス電圧が印加可能である。SOL電流の詳細な情報を得るため、新たにSOL領域へ挿入可能な静電・磁気プローブと同プローブの水平駆動装置への取り付け部の設計を完了した。上記のハードウエアの整備と並行して、プラズマ周辺部での巨視的不安定性や微視的乱流制御に効果的なSOL電流駆動パターンのモデル計算を進め、LCFSのすぐ内側の安全係数q_95にほぼ共鳴する摂動磁場成分が可能な限り大きくなるようなダイバータバイアスの電圧印可パターンを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダイバータ板のバイアス回路系の整備がほぼ完了し、電磁ノイズ対策を完了した。また、球状トカマク装置QUESTでのダイバータバイアス実験をさらに効率よく進めるため、予想されるSOL電流路部の近傍に挿入可能な静電・磁気プローブを新たに設計した。同プローブのQUEST装置への設置作業を開始した。これらのハードウエアの整備と並行して、周辺プラズマの安定性やプラズマ輸送に有効と思われるダイバータバイアスの電圧印可パターンをモデル計算により明らかとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の実験では、QUESTで生成しやすい「閉じた磁気面がなくSOL領域のみからなる円筒プラズマ配位」でSOL電流駆動実験を行う。この配位ではSOL電流駆動とその検出が比較的容易でかつ通常のダイバータ配位と類似のSOL電流駆動が期待される。したがって、この配位での実験は本手法の基本的な物理機構の理解に有用である。 QUESTトカマク装置では大きなプラズマ電流を準定常に駆動すべく入射高周波電力の増大が図られており、高周波駆動電流が50kAを超えるようになれば、ITERなどで採用されている標準的なダイバータ配位を生成できるようになる。この段階で「上側シングルヌルダイバータ配位プラズマ」を生成し、SOL電流駆動実験を行うとともに周辺プラズマやダイバータ板への影響を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
実験装置への取り付け機器の簡素化と既存機器の部分改良により、支出を圧縮できた。また、学会参加の参加期間短縮と可能な限り安価な交通機関利用による旅費の節約が可能となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験の精度向上のため、新たに設置する計測機器(可動型静電・磁気プローブ)に使用可能予算の一部を充てる。ただし、高価な駆動装置は手持ちの装置を再調整して流用する。また、成果の発表のために参加する国際会議は特に関連の深い一会議に絞るとともに、国内の2学会に参加し、本研究成果の発表を予定している。
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Research Products
(4 results)