2015 Fiscal Year Research-status Report
マイクロビームとキャピラリーレンズを用いた3次元元素分析法の開発
Project/Area Number |
26630477
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松山 成男 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70219525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺川 貴樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10250854)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 3次元元素分布 / ウエーブガイド / 深さ分解能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞試料をミクロンの分解能で3次元全元素分析するために、マイクロPIXE分析システムによる2次元マッピングシステムと、検出するX線の視野を制限することによって得たスライス情報から2次元のスライスマップを取得し、深度毎の2次元スライスマップからマップから3次元マップを導出する手法を開発する。本年度は、昨年度に開発した厚み10ミクロンのシリコンウエハを用いたウエーブガイドの性能評価を行った。ウエーブガイドをSi(Li)検出器に取り付け、3MeVの直径1ミクロンメートルのマイクロビームを用い、Tiフォイルを用いた2次元マップの取得を行った。その結果、ウエーブガイドにより視野が制限できることを確認した。試料とウエーブガイド間距離を11mmとしたときの深さ分解能はおよそ110ミクロンメートルであった。距離を離すと分解能が悪くなり、ウエーブガイドが理論通りの動作をしていることが確認できた。またTiフォイルを2枚、約100ミクロン離した標準フォイルを測定したところ、それぞれのフォイルに対するピークを確認することができ、ウエーブガイドと2次元マッピングにより深さ情報を取得することができることが確認でき、3次元測定の可能性を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウエーブガイドを用いて、ウエーブガイドが設計通りの性能を示していることが確認でき、3次元測定が可能であることを示すことができた。現在の所深さ分解能は100ミクロン程度であるが、ウエーブガイドと検出器間距離を短くすることにより、分解能を向上できることができると考えている。ウエーブガイド方式ではX線収量が減少するため、長時間の測定が必要であると考えていたが、昨年度実施した、加速器電圧安定性の向上と、ビーム輸送系の条件の最適化により、短時間での測定が可能であった。今年度は、ウエーブガイドの評価と3次元測定の可能性を示すことを目標としていたため、計画はおおむね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はまず、深さ分解能の向上を図る。平成27年度に取得したデータにより、ウエーブガイドと試料間距離を近づければ分解能の向上と検出効率の向上を図ることが可能であるため、特に大きな問題は生じることはないと考えているが、平成27年度の結果から、ウエーブガイドの取り付け精度が重要である事が判明したため、取り付け精度の向上を図る必要がある。3次元測定のためには、ステージ移動システムが必要である。現在のステージは手動であるため、電動化を図り、すべて遠隔で測定が可能となるようにシステムの構築を行う。開発したシステムを用いて実細胞試料の分析に挑む。細胞試料としては、まず組織細胞切片を分析する。組織細胞では何層にも細胞が重なっているため、これまでは、細胞の大きさである20μm程度の厚みにてマイクロPIXE分析を行っていた。そこで100μm程度に薄切した組織細胞と、これまで用いていた20μm厚程度の薄片とを分析し、比較検討を行う。
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