2016 Fiscal Year Research-status Report
超臨界流体を利用した放射性金属・カーボンナノコンポジット材料の創製
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26630482
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
塚原 剛彦 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (10401126)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超臨界水熱合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、放射性金属核種を長期安定に保持できる新しい手法の構築を目指し、カーボンナノチューブ(CNT)内に金属核種を内包・固定化したナノコンポジット材料を作成しうる超臨界水熱合成法の研究開発を行うものである。本年度は、粒子化可能な希土類元素(Ce, Pr, Tb)を含む複合酸化物の超臨界水熱合成試験を、様々な条件下(温度、圧力、反応時間等)で実施し、得られた粉末粒子の組成及び形状をXRD及びSEMを用いて解析した。0.1Mの硝酸Ce(III)と硝酸Pr(III)を混合した二成分試料では、500℃、40MPa、5分の反応条件において、Ce(IV)とPr(IV)への価数変化が引き起こされ、立方晶CeO2と板状結晶PrO2が複合した(Ce,Pr)O2±x酸化物粒子へ転換することが分かった。また、硝酸濃度が増加するにつれて、得られる粒子が球状へ変化した。同様の現象は、Ce/Pr/Tb三成分試料でも見られており、立方晶CeO2,板状結晶PrO2に針状結晶TbO2が加わった(Ce,Pr,Tb)O2±x酸化物粒子が、硝酸濃度の増加に伴って筒状へ変化した。しかし、硝酸濃度が高くなり過ぎると、反応セルからNiが溶出してしまうため、反応セルの材質改善など、Ni溶出を抑制する対策が必須であることが分かった。 また、硝酸溶液を用いた多層CNTの表面改質状態について検討した。CNTを含む硝酸溶液を140℃で3時間還流させ、ろ過・洗浄後、350℃で焼成させた。改質後のCNTのIRスペクトル測定及び塩基性水溶液にて滴定を行った結果、表面官能基はカルボニル基及びヒドロキシル基に変化していることが示唆された。また、TEM観察より、改質後のCNTは壁面構造が破壊されていることを確認した。 以上より、硝酸水溶液中のCNT及び金属イオンを同時に超臨界処理することで、金属イオン固定化CNTが合成できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カーボンナノチューブを含む水溶液の超臨界水熱合成において、最適な反応条件を決定することに時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
反応条件の最適化ができたことから、今後は、CNTと金属イオンを含む条件で合成を実施し、目的を達成する。
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Causes of Carryover |
CNTを含む水溶液の反応条件の最適化に時間を要し、研究の進捗が少し遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
合成条件が決定したことから、最終目標である金属イオン固定化CNT合成試験を推進する。費用は、それに必要な試薬・器具類の購入に充てる。
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