2014 Fiscal Year Research-status Report
植物油のミスト化とパルス放電によるバイオディーゼル合成の高速化
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26630494
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
関口 秀俊 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (50226643)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオマス / バイオディーゼル / パルス放電 / ミスト |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の活動は大きく2つに分けられる。一つは、バイオディーゼルである肪酸メチルエステル(FAME)合成におけるパルス放電効果の検証であり、もう一つはミスト噴霧が可能な新規反応装置の作成である。前者においては、固体触媒を添加したトリオレインとメタノール混合溶液中にパルス放電を導入して、各種放電条件(電極間距離、電圧、電界強度、投入電力)がFAME合成反応に与える影響を調べた。その結果、投入電力が低い条件でFAMEの収率が向上した。この条件下では、液滴の微細化と、触媒である酸化カルシウムのカルシウムグリセロキシドへの変性が見られた。一方、電力が大きい条件ではFAMEの収率に変化がなかったが、トリオレインの転化率が低下した。この際は、液滴の微細化は同様に観察されたが、触媒が水酸化カルシウムへ変性したことに加え、反応物の炭化が見られた。これらの結果から放電による反応の促進効果には、活性種の生成に伴うメタノールアルコキシドの生成、放電の衝撃による液滴の微細化が考えられ、一方、反応を抑制する効果としては、放電による局所的な温度の上昇による原料のトリオレインと生成物のFAMEの熱分解、および触媒表面への炭化物の付着による活性低下、そして放電により生じた水による触媒の水酸化カルシウムへの劣化が考えられた。そして結論として、適度な放電投入電力が好ましいことが示された。一方、後者の反応装置の作成では、噴霧方法として液を導入できる超音波振動ノズルの採用を決め、メタノール気相中に導入すべく、装置作成に取りかかっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、平成27年度に行う予定であった放電の効果を明らかにできたため、今後の実験において最適な放電条件を設定する上で大きな指針を得たことは十分な成果と考えるが、計画しているミスト実験に至っておらず、進捗がやや遅れているとした。ただし、噴霧装置も用意でき、27年度には直ぐに実験が開始できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、早急に実験装置を完成させた後、直ちに実験に取りかかる。実験はメタノール蒸気で満たした反応器の上部から、触媒を混入させたトリオレインを超音波噴霧し、反応器下部に貯まる生成物を分析する。放電条件は今年度得られた結果を基準とし、各種ミスト生成条件や触媒の種類・粒径等も変化させて、それらのFAME合成反応への効果を調べ、機構の解析や律速段階の特定をとおして、高速FAME合成の最適条件の探索を進める。
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