2015 Fiscal Year Annual Research Report
新しい電荷分離・輸送機構を有する光エネルギー変換デバイスの創製
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26630497
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
萩原 英久 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30574793)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水の光分解反応 / 色素修飾 / 電荷移動 / 光触媒 / 光エネルギー変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究で、水の光分解活性を示すKTaO3をアセン系の色素で表面修飾すると、活性が向上することを見出した。今年度は、KTaO3光触媒の水分解活性に与えるアセン系色素の修飾効果の解明を中心に検討した。 アセン系色素の中で最も高い修飾効果を示したトリイソプロピルシリル (TIPS)ペンタセンで修飾したKTaO3に対し、色素を励起する610nm以上の可視光とKTaO3を励起する300nmの単色光を用いて活性の波長依存性を検討したところ、紫外光と可視光を同時に照射した際に高い活性を示した。また、KTaO3の蛍光スペクトルを測定したところ、色素修飾することでKTaO3の蛍光強度が低下していたことから、KTaO3から色素への励起エネルギーの伝搬が示唆された。これらの結果は、アセン系色素修飾KTaO3の電荷移動が植物と同様の二段階励起機構で進行していることを示唆している。また、アセン系色素はKTaO3上で凝集体を形成していたことから、DFT計算により色素凝集体の電子移動の再配列エネルギーを計算したところ、触媒活性とは相関がないことが分かった。一方、アセン系色素修飾KTaO3の水分解活性と色素のエネルギー準位の関係を調べたところ、LUMOが貴な色素で修飾した触媒の方が活性は高くなる傾向を示した。これらの結果は、色素内部の電荷移動よりも色素のLUMO準位からの電子移動がこの触媒中では重要であり、光触媒活性に大きな影響を与えていることを意味している。 本研究により、アセン系色素による表面修飾はKTaO3の水分解活性の向上に有効であることを見出した。本触媒中ではKTaO3が紫外光を、アセン系色素が可視光を吸収し、二段階励起機構で水分解反応が進行していると考えられる。検討したアセン系色素の中では、TIPSペンタセンが最もKTaO3の水の光分解活性の向上に正の効果を示すことが明らかとなった。
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[Journal Article] Impact of alkoxy chain length on carbazole-based, visible light-driven, dye sensitized photocatalytic hydrogen production2015
Author(s)
M. Watanabe, H. Hagiwara, Y. Ogata, A. Staykov, S. R. Bishop, N. H. Perry, Y. J. Chang, S. Ida, K. Tanaka, T. Ishihara
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Journal Title
Journal of Materials Chemistry A
Volume: 3
Pages: 21713-21721
DOI
Peer Reviewed
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