2014 Fiscal Year Research-status Report
光制御によるサル大脳皮質基底核投射における多重神経回路の機能同定
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26640001
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
蔵田 潔 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30170070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 正治 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60599083)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光遺伝学 / ニホンザル / 大脳基底核 / 大脳皮質 / 運動制御 / 行動選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は大脳基底核と大脳皮質運動関連領野が構成する機能ループが運動制御のうち、特に視覚誘導性運動と内的誘導性運動のいずれにより関与するかを、そのループの要となる大脳基底核の出力部である淡蒼球内節部のニューロン活動の記録・解析と、淡蒼球内節部における主要なニューロン活動の存在部位にアデノ随伴ウィルスをウィルスベクターとするチャネルロドプシンを発現させ、運動課題のさまざまな局面で光刺激を行った際の行動の変化を観察することを明らかにすることを主眼とするものである。平成26年度の研究開始から2頭のニホンザルについて上記の運動課題の訓練を完了した。引き続き、そのうちの1頭のサルについて記録用チェンバーと頭部固定装置を頭蓋骨へ装着した。ガス麻酔による無菌手術からの回復後、エルジロイ電極によるニューロン活動の記録によって大脳基底核淡蒼球内節を同定し、ニューロン活動を記録・解析した。運動関連活動など手の運動課題に最も関連する部位にアデノ随伴ウィルスをベクターとするチャネルロドプシンを注入し、4週間の発現期間後、光刺激による行動への影響を観察した。このサルの脳標本をすでに採取し、記録・注入部位を平成27年度早期に確認する予定である。また、この際に、線条体のパッチ‥マトリックス構造との線維連絡も検討予定である。確認後、速やかに2頭目のサルから同様の実験を行う予定であり、研究は全体としておおむね順調に進展している。1頭目で得られた結果が2頭目でも同様であるかを検討した上で、成果を発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究開始から2頭のニホンザルについて運動課題の訓練を完了した。引き続き、そのうちの1頭のサルの大脳基底核淡蒼球内節を同定し、ニューロン活動を記録・解析した。運動関連活動など手の運動課題に最も関連する部位にアデノ随伴ウィルスをベクターとするチャネルロドプシンを注入し、4週間の発現期間後、光刺激による行動への影響を観察した。このサルの脳標本をすでに採取し、記録・注入部位を平成27年度早期に確認する予定である。また、この際に、線条体のパッチ・マトリックス構造との線維連絡も検討予定である。確認後、速やかに2頭目のサルから同様の実験を行う予定であり、研究は全体としておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに1頭のサルにおけるニューロン活動記録とウィルスベクターの注入後の光刺激による行動の変化を観察しているので、1頭目のサルの脳標本で記録部位と注入部位の確認を行った後、訓練を終了している2頭目のサルにおいても同様の実験を行う予定である。1頭目のサルでは内的誘導性課題において報酬を得られる標的を次の試行でも選択すると引き続き報酬が得られ、報酬が得られない場合は別の標的を選択し切替えるようにした。2頭目のサルでも同様の課題の訓練をすでに完了しているが、報酬による内的誘導による行動選択に関するニューロン活動の変化と淡蒼球の光刺激の効果をより詳細に検討するため、運動切替に際し、複数回の試行で報酬を徐々に減らし、行動選択の確率的な要素を盛り込む予定である。
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Causes of Carryover |
脳の免疫組織化学染色を用いた標本作製に抗体など組織作成用材料を購入し、組織標本とデータ解析に必要な人件費に要する謝金を支払う予定であったが、この部分を平成26年度中に実施できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度末までに1頭のニホンザルのニューロン記録と光刺激実験を終了し、脳の標本をすでに採取している。平成27年度の早期に、脳の免疫組織化学染色を用いた標本作製に抗体など組織作成用材料を購入し、組織標本とデータ解析に必要な人件費に要する謝金を支払うように使用する計画を立てている。
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