2016 Fiscal Year Annual Research Report
Toward understanding the detection mechanism of the gradually changing time-information
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26640021
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山田 陸裕 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 上級研究員 (90469924)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 視交叉上核 / 位相応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、視交叉上核において環境時刻情報の伝達と内部表現を担う物質(主に神経ペプチド)を包括的に同定し分類を明らかにした。さらにこれらの物質が環境時刻情報を内部表現する上で担う役割について数理モデルを提案した。 このモデルから、視交叉上核の振動パターンを任意に制御できる可能性が示唆され、独自に開発した灌流培養系を用いて検証実験を行っている。現在までのところ観察結果は予想に近いものである。本年度はさらなる検証の継続に必要な実験環境を得るため、所属研究室の移転に伴う研究環境の再構築に注力した。特にマウス飼育施設の立ち上げに最大限の努力を傾注し、年度内に目標の9割程度の完成を見た。これにより本研究課題が目指した課題の解決に必要な動物供給および検証実験の実施に十分な基盤を構築できたと認識している。具体的には、36匹/ラックの概日活動リズム観察ができる測定ラック24台がこれまでに準備完了しており、多数のマウスを計測することによる高い統計的検出力を実現できる。また、環境光制御下で飲水による薬剤投与を行いながら活動観察を行うことに成功している。さらに、所属研究室ではCRISPR法によって作出した遺伝子欠損マウスの活動リズム観察をこの測定系を用いてハイスループットに解析する系の運用を開始している。これらから、本課題でこれまでに同定された神経伝達物質の欠損動物の表現型解析を十分に行うことができる。すでに本課題は論文報告のための最終データ取得段階に入っていると認識しており、引き続きこれらの環境を活用して実験データを取得することに努める。特に時刻分布を拡大させる働きをもつと予想される物質候補1つについて検証実験を追加する。また、モデルの予測を裏付ける観察の再現性を確認する。さらに、これらの知見に基づいて環境の時刻情報を伝達する物質の濃度が緩やかに変化する場合の視交叉上核の応答について検討する。
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