2014 Fiscal Year Research-status Report
神経変性疾患における神経ネットワーク恒常性維持機構の解明
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26640031
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
齋藤 直人 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (90334226)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病を題材にして、予防戦略の新たなアイディアを提供することを目的とする。Aβ仮説に則り、培養神経細胞ネットワークにAβペプチドがどのように作用するのかを解析している。ただし、神経細胞死やAβの急性の効果が現れないような実験条件に設定するため、Aβの投与濃度を検討した。1nM~1000nMまでの範囲でAβを慢性的に投与しても、神経細胞死など顕著な細胞毒性は示さなかった。100nMの条件下で急性の効果を検討したところ、自発発火頻度に対して影響は示さなかった。以上の結果から、100nM以下のAβは急性の神経細胞毒性は示さないと考えた。このような実験条件下では、Aβの慢性効果(毒性)を打ち消すように、神経細胞ネットワークの恒常性維持機構が働くと仮説を立て、検討を行った。100nMのAβを投与後1週間たった時点では、培養温度と同じ37℃ではAβとコントロールペプチドとの間に発火頻度の差は生じないが、測定温度を下げると(28℃) Aβ投与神経細胞ネットワークのみ発火頻度が減少した。このことからAβ毒性に対する恒常性維持機構には温度依存性があることが考えられた。このときの、シナプスの形態的特徴を解析する目的で、VGluT1(興奮性シナプス)とGAD65(抑制性シナプス)の蛍光抗体染色を行った。この結果、Aβを慢性投与しても、興奮性/抑制性シナプス比は変化しなかった。一方、シナプスのサイズを染色像から検討すると、Aβ慢性投与によってシナプスサイズが減少することが示唆された。この結果は、AβがLTDを引き起こすという先の報告に合致する。シナプスの総数に関しても減少傾向はあったが、有意差くさらなる検討を加える必要がある。ヒトにおいて加齢に伴ってAβが蓄積しつつも、認知症症状を呈さないための内因的防御メカニズムが存在するはずであり、以上の結果がその分子機序の解明に繋がると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究の中で、実験条件の設定と、Aβの神経細胞ネットワークに対する効果に関して、新たな側面を明らかにすることが出来た。興奮抑制バランスに関しては、予想に反して差が無いという結果になったが、この点に関して、解析を進める必要があるだろう。内在性のBDNFの効果の結果、バランスが崩れずに保っているのかも知れない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に大きな変更はない。BDNFは一定の効果がある結果を得ているが、この効果に関して再現性など含めて、データを固める必要がある。TNF-αに関しては、効果がないようであるがこちらもデータを固めていく。興奮抑制バランスに関しては、組織学的手法で検討を行ったが、電気生理学的手法でも確認していく予定である。
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